「せっかくだから、子猫の名前、三人で考えない?私だけじゃ浮かばなくて……」

 犬派の宏明は乗り気でない様子だが、和貴は猫好きであるため目を輝かせながら「ええな!」と大喜びだった。

 候補はいくつかあるも、しっくりくる名前が浮かばない。
 宏明は犬につけそうな名前ばかりを提案してくる。

 「宏明くん……犬の名前ばかりやな……」

 「仕方ねぇだろ。俺、犬派なんだからよ。」

 夏都は二人の考えた子猫の名前の候補を眺めている。

 「うーん。なかなかまとまらないなぁ」と二人が考えた名前の候補の紙を見比べながら、子猫をちらっと見つめる。

 ――その瞬間。

『なんでもいいから早く決めてよ!』
 
 と子供のような甲高い声が部屋中に広がった。
 三人とも「うん?」ってなる。
 
「なつ、なんか言ったか?」
「私はなんも」
「宏明くんちゃう?最近女声出す練習してたなぁー」
「俺でもないし。」
「え?え?」
 
 三人が混乱する中、『こっちだよー、こっち』と声の方向を辿ると仔猫だった。

 夏都は恐る恐る仔猫に「あなた喋れるの?」と声をかけた