式場選びもひと段落した昼下がり、来客が訪れていた。
 そう、三兄弟の友人であり、夏都を助けるためにひと肌脱いだ和貴だ。
 三人ほど美形ではないが、整った顔立ちをした好青年だ。

 なんでも、宏明の親友だという。
 祝いに、「守り猫」を贈りにきたのだという。

「結婚おめでとう。これお祝い。いつか君を守ってくれる存在や。」

 「わぁ、可愛い。本当に頂いてもいいんですか?」
 「かまへん。この猫は守り猫としての条件をたまたま満たしていたんや。ほんまは俺が飼いたかったわー。」
 和貴の手の甲には猫に引っかかれた跡が残ってる。
 自分が子猫に拒絶されてることを悟った。そういうところだ。

 子猫はずっと不安げに「ミャー」と鳴き続けていた。
 夏都は子猫をかごから抱き上げるとニコリとほほ笑んだ。

 「大丈夫だよ。悪いようにしないからね。落ち着いたら名前を考えようね。」

 子猫も夏都の腕の中でゴロゴロのどを鳴らし、いつの間にか寝てしまっていた。

 和貴は「さてと」と一息つくと真剣なまなざしになる。

「これからいうことは君にとっても大切な話になる」
 夏都は和貴の言葉にのどを「ゴクリ」と鳴らす。

「鬼、もしくは鬼の血を引く人間の共有花嫁になるっちゅうことは所有物になるゆうことや。」

「どういうことですか?」
「共有花嫁の存在をよく思わない人間も多かれ存在するんや」
「……」
「君なら大丈夫と思うけど、花嫁が鬼関連の一族を裏切るのは死を意味する。せやから宏明くんたちを裏切るような真似だけはしないでほしいんや。」
 
 そして和貴は続ける。