「悲しいことにこれが実の娘だから驚きなんだよねー。」

「おっちゃん、今からあの子の実家にカチコミ行っていい?」

「和貴が標準語になってる、本気で怒ってる」
 宏明は和貴の状況を見て顔面蒼白になった。
 過去に和貴と喧嘩して負けたことがありそこから怒らせないように気をつけてた。

「和くんダメだよ。そんなヤツらのために手を汚したら。せっかく立ち上げた会社も軌道に乗ってるんだからもったいないよ。」

「和貴の会社は興信所とも連携してるから頼みやすくて安心したよ。」

 和貴も3人の方をむくと素朴な疑問が浮かぶ。

「宏明くんたちのお嫁さん、写真で見た限りべっぴんやけどどんな子や?」
「まぁ、いい子だよ。料理も上手だしね。」

 和貴は「ほほー」って顔をした。

「せっかく手がかり見つけたからしっかりやるんやでー。ほな。」

 和貴はそのまま帰路についた。

 ――
 一方そのころ夏都は、和泉と一緒に洋服を見に行った。

「まぁ、素敵。なつちゃんは背も高いしスタイルもいいから似合うわ。」

 和泉は目をキラキラさせながら、いろんな洋服を着せた。
 シックなものからエレガントなワンピースを、夏都のために次々と、カートに詰め込む。
 下着屋から洋服屋まで巡っていく。
 カフェにて休憩している時。

「夏都ちゃん、好きなの頼んでいいからね。」
「ありがとうございます。」

 メニューに目を通しながら、和泉は夏都の顔をまじまじと見ながら彼女の美貌に感心した。

「あなた……泰明の好みかもねー」
 和泉の言葉に夏都は「?」という感じの顔になった。

「背が高くて、大人びた可愛い顔……何をとっても泰明の好みよ。」
「そうなんですか?」

 和泉は笑顔で頷くと「ウサギ姫」と一言。

「あの子ね、ウサギ姫が好きで汚れるまで絵本を読んでいたの」
「……」
 夏都は黙っていづみの話を聞く。