はるか昔のこと、かつて鬼は差別の対象にあった。
 人間というものはおろかで残酷な生き物と鬼は嘆いた。

 飢え、戦争、鬼たちは人間の汚い部分を長年みており、すべてを記録に残し後世まで語り継いだ。
 
 そして、彼らに一筋の光が差す。
 女神族が彼らの目の前に現れ、鬼たちに助言する。

「私はあなた達を導きます。」

 女神は、ひとりの赤ん坊を鬼に差し出した。
 その赤ん坊こそ鬼の初めての配偶者となる。
 なんというおとぎ話。こんな皮肉な話があるものか。

 そして、第二次世界大戦後、人類を救った鬼が現れ、差別と迫害の対象になった鬼が英雄視されるようになった。
 英雄視された鬼は美しく、強く、優しい存在だった。
 人は誰しも得体のしれないものを恐れると言われる。

 この出来事がなければ「半鬼(はんおに)」の存在が認知されるのは20年遅れていただろう。

 その文献を読み終わった後、ひとりの青年はポツリとつぶやいた。

「弱いからこそ人間は修行ちゅうもんが必要なんやな。」

 そして独り言のようにつぶやく。

「さて、明日の幸せのために今日も一日一善の精神で行きますか。」

 そして現在。
 これからの日本はどうなっていくのか、見ていくのも面白い……。