僕は、不安だった。もちろんマナがトドメを刺せなかったらとか言う仲間を疑うようなことではない。最悪の場合だ、僕にも敵わないモンスターがいて、それによりマナを失ってしまったら僕はもう生きていられない…そんな気がした。そんなネガティブな発想を浮かべていると後ろから手で背中を押された
「頑張りましょう」
「…うん、そうだね」
僕は強くなった、傍から見ると自分は慢心しているだけと思うだろうが実際、中級ダンジョンにも力が通用したし、なんたって周りを気配だけではなく完璧に見えるようになるスキルも習得出来た。
だからこそ今回は大丈夫だろうと思っていた。

_____だが、今回は僕の想像するものとは違う最悪の場合に当たってしまうのだった

「じゃあ、作戦通りに頑張ろう」
「えぇ、じゃあ始めましょう」
僕たちの作戦はこうだ、まず俺が相手の手足を狙い動きを封じる。すかさずマナが魔法を使いモンスターを倒すというシンプルかつ成功率が高い作戦だった。
だが、ここは上級者ダンジョンであり、僕が射っただけでは怯まない可能性があった。そこで最悪の場合を考え、僕たちの動作を極力あけない様にし少しでも成功率を上げようとした。
「じゃあ、マナの詠唱が終わったら僕は射つね」
「分かった、それじゃあ始めるわね」
それからマナの詠唱が始まり、僕は弓を構えた。まだ<視野全開>の効果が残っていたからと言うのと、マナが詠唱しているため<腕力増加>が使えなかったため、僕は事前に持ってきたいつも使い慣れている僕の弓を引いた。
いつでも射てる状況になりマナの詠唱が終わるのを待った、数秒後マナがこちらを見てきて口はもう止まっていた。もう放てるという事だろう
僕は敵に集中し矢を放とうとしたその時、視界が急に真っ暗になった。最悪のタイミングで僕のスキルが切れてしまったのだ
あの弓がないと、射つ事が出来なくなった僕は急いで弓を戻し、じいさんの弓を引こうとした。しかし、魔法とは1度詠唱してしまうと強制的に発動してしまうのだ
無情にも魔法は発動され、モンスターに命中した。僕はこれで倒れてくれる事を願ったが
やはり、上級者ダンジョンのモンスターは伊達の強さでは無くどんどんとこちらに向かって来る足音が聞こえた
「月宮、逃げて！」
その瞬間、僕は手を掴まれ縦横無尽に引っ張られていた。だがモンスターの足は速く人間が逃げれる速さではなかった
突如、僕の首元に激痛が走り…僕は意識を失っていた