僕たちは自分達のした行動を少し後悔しながらも警戒を解かずにダンジョンを進んで言った
「しかし、なんで倒しているはずなのにモンスターは無限に出てくるんだろうね」
「モンスターはほとんど魔力で体が作られてるからそれを崩した時に倒したって言うけど、またそれが練り上げられて生成されているのよ」
「へぇ、マナって物知りだったんだな」
「知らないけど」
ん? つまり、どう言う事だ…?
僕が不可思議な顔をしていると
「私の想像って言ってるの」
「どんな思考をしているんだよ、と言うことはモンスターが魔力ってのも想像か…?」
「そこは流石に知識よ」
びっくりした、マナが僕の想像より頭が良かったなんて…でもよく考えれば魔法使いの役職って結構高い頭脳がないとなれない気が…
ほんと、なんで僕たちのパーティーに入ったのやら
「まぁ、疑問が解けて良かっ…」
僕が最後の言葉を言いかけた瞬間、二つほど角を曲がった先に生体反応があった。
「どうしたの?」
「この先に何かいるけど…でも形が人間ってっぽいんだよね」
「確かに、正確に見分けるのって難しいわね。間違って人を殺しちゃったら罪に問われるし」
いい案はないかと考えていた時、僕の頭にある言葉が浮かんできた。聞いたことのない物だったがとりあえず言葉にしてみた
「フリオ…クラック」
「え、今なにか言ったかしら?」
「!?」
「ど、どうしたの?」
「ど、どうして僕…見えるんだ?」
どう言うことだ…? 僕はこの魔道具を使っても正確に周りを見渡すことはできない…はずなのだが、あの言葉を言った瞬間周りが鮮明に見えていた…マナの方を見ると顔さえしっかり見えていた
「マナ…見えるよ!」
「え、前から見えるようになったじゃない」
「違うんだ、鮮明に…まるで視界が戻ったようになったんだ!」
「と、と言うことは? 今まで壁越しに見えていた敵も鮮明に…?」
「うん、見える!あれは人だったね」
しかし、目が見えるようになって本当に良かった…マナの顔も見れたし、敵も判別出来るようになったし!
そう浮かれていた瞬間、目の前が今まで通り暗闇になってしまった
「あれ、見えなくなった…しかも結構魔力消費するな…と言うか本当にあの言葉でまた見れるのかな…?」
「多分見れるはずよ、本で読んだだけだけど月宮はさっき何か言葉を言ったでしょ? それは自分が出来ること、願う事をアルティメットスキルが示してくれるのよ」
「僕が使ったのは…えぇと【視野全開】(フリオクラック)か、でもこれ今やってみたけど大分魔力消費するね?」
自分の魔力量を考えると連続して使える回数が、もって2回が限度。だが効果はまだ続いていてかなり長い
……まぁこれだけ凄いことが起きているから何も文句は言えないが
「でも、もう敵なしぐらいの強さになったわね」
「そうかな、僕は普通に弓の一撃だけで倒せない敵は現れると思うんだけどなぁ…」
「それもそうね、というかこのダンジョンに入ってから一回もモンスター倒してないのだけれど?」
「仕方ないだろ、遭遇さえしてないんだから」
僕たちはかれこれ40分ほどダンジョン内を捜索しているが、まだ一度もモンスターを見ていなかった
「まぁ、モンスターが多すぎるよりはマシだけど…」
「そういえば、月宮の【視野全開】って効果時間はどれくらいなのかしら、まだ続いてる?」
「うん、マナのこともしっかり見えてるよ」
しかし、久しぶりに見たマナの顔…とても可愛いし綺麗だった。
「…釣り合わないなぁ」
「ん? 何か言ったかしら」
まずい、声に出てた
「…っ、いや? 何にも」
「そう?」
危なかった…この想いを伝えたら、こんな風にもうそばにもいられなくなるかもしれない