「弓使い、失明に至る」
~もう一度仲間と共に~
もし、自分が今大切にしていることが2度と出来ないとなったら人はどうするのだろうか。
僕は今パーティーメンバーと、ダンジョンに来ていた。
「さすがに、初心者パーティー用だと強くなってる自覚が持てないな。」
この人はパーティーリーダーで、古き親友でもあった。
「そうね、あと簡単に攻略出来ちゃうし、モンスターも弱い。」
「…で、でも…もう少し慣れるまで待ってくれないかな?」
「あ?」
僕の言った言葉がリーダーである、ユウトの反感を買ったのだろう。
「ご、ごめん、でもまだ数回しかダンジョンに来てないから…」
「…はぁ…月宮…お前はなんのために特訓を今までしてきたんだ?」
…確かに弓の練習を僕はたくさんしてきた
「うっ…でも…」
「いいか?」
僕の言葉を遮るようにユウトは言った。
「お前は、3年間努力を惜しまず特訓に励んできたはずだ。お前が止めなかったのも、その弓への愛だろ?」
「うん…」
そうだ、僕は遠くから敵を射抜ける。あの格好いいアシストを目指しパーティーに貢献できるよう努力したじゃないか!
「ありがとう…リーダー。」
「よせよ、あと俺もそこまで厳しく言うつもりは無い。お前のペースでいいんだ、頑張れ。」
なんていいリーダーなのだろう。と、俺は改めて周りから恵まれてることを実感した
「ありがとう…!」
「なーに見せられてんだか。」
「空気読めよ、マナ」
「だって、男同士の青春っぽい雰囲気なんて誰が興味あんのよー」
こいつは、マナ。名前から察するように魔法使いだ。ちなみにリーダーは一応剣士
僕とリーダーがパーティーを組んだ時から声を掛けられていたが、リーダーと話し合った結果入れることにした。
「それはそうと、月宮はどうしたい。」
正直、あれだけ特訓したとはいえダンジョンは慣れていないため怖いものは怖い。だが
「うーん…今までならまだこのダンジョンで慣れたいけど…いいよ、上級者パーティー用のダンジョンへ行こう!」
「よーし、その意気だ。いざとなったら守ってやるから安心しろ?」
「うん、ありがとう!」
こうして僕達は上級ダンジョンへとやってきた。だが、上級者ダンジョンは、今まで僕達が入ってきたダンジョンとは比べ物にならないほどにヤバいオーラがあり、僕とリーダーは気圧されていた。
「すごい圧があるな。」
「は、初めて来た…」
僕とリーダーは、ずっと一緒に居たため初級ダンジョンにしか入っていなかった。そのせいか少し怖気付いてしまった。
「…これはヤバいな」
「ここを僕達…今から入るの…?」
周りにはモンスターか人かも分からない血があったり、ダンジョンの入口は厳重にされているため、明らかに初心者ダンジョンとは違った。
「さ、早く入るわよ。」
「いや、なんでお前は落ち着いてんだよ。」
「え、だってこのダンジョンに来るの2回目なんだもん。」
と、マナはいきなりとんでもない事を言い出した。
しかし、ここに来たことがあると言うのなら初心者ダンジョンの攻略はつまらなかったかなと罪悪感が出てきてしまう。
「来たことあるなら言えや!」
「だって聞かれてないし…」
リーダーがツッコむと同時に僕は笑ってしまった。
「…まぁ1回行った経験があるんなら頼りにしてるぜ」
「リーダーがパーティーメンバーに頼ってしまう時が遂に来たか。」
「…なんか言ったか?」
「いえ、なんでも?」
2人の会話が漫才に聞こえ、僕はツボに入ってしまった。
あれほど緊迫していた空気はもう僕らにはなかった。
「さぁ、入ろうか」
リーダーの声に了承し、僕達は慎重にダンジョン内へ入っていった。中に入ると、より圧がかかったような気がした。
「ほんとに…僕は活躍できるのかな…」
「大丈夫だ、お前はいつも通りやればいい。何かあったとしても、俺がお前を守るよ」
リーダーは、本当にすごい。
ここに来たこともないはずなのに…怖くないはずなのに、僕を守ると言ってくれたり。
「でも、手震えてるわよ?」
「…これは武者震いに決まってんだろ?」
「ふふっ、冗談よ。」
「何がだよ…」
マナがリーダーをからかっているといきなり後ろから気配がした。
「どうした?月宮」
「後ろに何か気配、感じた…敵かも…」
「そうか、2人とも戦闘準備を始めよう。」
「言われなくても分かってるわよ。」
どんなモンスターが出てくるかと思ったその時、人影が見えた。
「……人だったな。」
「なーんだ、緊張して損した。」
「でも、そういう心構えは大切だぞ?」
こんな、ダンジョンの入口付近で戦うなんてあったらこの先…一体いくつもの戦闘を繰り返さねばいけないのやら、そう思っていた矢先
「はいはい、ってあの人達何か変じゃない?」
さっき見えていた人影が体全体を映し、段々とこちらへ向かっていたのだが、あの人と言えるのかは分からないが…目が2人とも光っていた。
「まぁ、ダンジョンは暗いしそう見えるんじゃないか?あっちは入口だし。」
「そういうもんなのかなぁ」
しかし、そういうのは人間ではなく猫などにしか起こらないのだと思っていたのだが…
「あ、そうだ。一緒にダンジョン攻略できるか聞いてみない?」
「あぁ、そうだな。人数が多いに越したことはない」
僕は2人に近づき声を掛けようと思ったその時、2人が同時に僕へ剣を抜いてそれを振りかざしてきた。
「月宮!!」
避けることも出来ず剣で僕の目が斬られ、今まで感じたことの無いような痛みに襲われた
「ぐぁあああ!」
そして、ユウトは剣を取り出しその人型モンスターに向かって飛び出した。
「<身体強化>フィジカルアップ」
マナが詠唱し、ユウトはその勢いで1匹に傷を負わせることが出来た。
「………」
マナもいる中2対1だと勝てないと判断したのか即座に逃げていった。
「月宮!大丈夫か!?」
「…あぁ、回復ポーションもあるし、切り傷もそこまで…」
僕はそこで異変を感じた。
「…? どうした」
「…見えない…」
「見えないって…まさか失明!?」
リーダーは僕が聞いた事が無いほど、声を荒らげて言った。
「分からない、でも…見えないんだ……」
「さっき斬られたところよく見せてみろ…」
リーダーは長い沈黙だったため、事態がかなり深刻だと言うことを思い知らされた。
「ダメだ…目の奥の方まで斬られてる…」
「そんな…」
「今日は急いで帰ろう。ギルドにも行って、失明を治せるか聞いてみよう。」
そうだ、まだ治る可能性があるかもしれない、そう期待を抱いていた時「待って」と
マナが声を掛けた
「どうした、マナ?」
「失明はもう治らないと思う」
「…なんでそんなこと言い切れるんだ?」
「今見たけど目の傷、神経の所までいってると思うの。」
僕はそれを聞いて絶望した。回復ポーションがあったため痛みはなかったが、そこまで重症だとは思いもよらなかった。
「いや…でも分からないだろ!?」
「神経まで治せるほどの医者がこの世にいる?」
「……っ」
ここまで言われるとリーダーは黙ってしまった。確かに、神経までを治してしまうほどの医者など聞いた事もなかった。しかし、弓使いにとって目が見えないのは致命傷だった。
「ウソ…だろ、僕もう弓使えないの…?」
「えぇ…残念だけど。」
僕が絶望していると、リーダーが声を震わせながら話し始めた。
…泣いているのだろうか
「…もう…月宮とはダンジョンに行けないのか…?」
「…そうね、目が見えないとなるとそうなるわね」
そうマナが言うとリーダーは泣いていた…ようだ普段は滅多に泣かないあのユウトが。
「ただ空間把握能力を手に入れれば話は別かもしれないけど」
僕はこの世界で数十年は生きてきたが空間把握能力なんて聞いたこともなかった。
「なんだ、それは…」
リーダーも聞いたことが無いと知り一安心していると、マナが話を続ける。
「アルティメット(幻想級)スキル、の1つに入れられる能力よ」
アルティメットスキルとは、この世に5つしか存在していない、究極の能力のことだ。
これを所持している人物は世界でも10人はいないと言う。
「それは、どうやって手に入れられるんだ…?」
「それは分からないわ」
そりゃそうだ、知っていたら所持している人数がこれ程少ないなんておかしいに決まってる。
……空間把握能力はどんな能力なのだろう。
「…とりあえず、今日の所は宝箱とって帰りましょ。」
「あぁ、そうだな。しかし……月宮はこれからどうするんだ?」
「それを決めるのはアンタの仕事でしょ」
「俺は月宮に聞いたつもりだったんだがな」
……僕は弓が好きだ。だから、こうしてダンジョンにいる。しかし、目が見えなくなってしまい、マナが言っていた空間把握とやらを手に入れられる可能性が低いとは分かっていた。だからこそ……もう決心はついていた。
「いいよ…僕はもうダンジョンは諦める。」
「諦めていいのか…?」
いいはずない、これからこうしてダンジョンを攻略したりしながら生きていくと思っていた。…ただ
「正直言うとめっちゃ悲しいんだよ? まだ弓も射ちたいし…2人と冒険したい。けどここまでになると、もう…ね?」
「悪ぃ、俺が守るって言っておきながら…」
「いや、あれは僕が悪いよ。自分勝手に行動したから自業自得、もう割り切っていこ」
僕は今平然と話すことが出来ているか分からないが、とりあえず立ち上がりリーダーの肩を借りつつも宝箱を開けて家に帰った。中身は全部受け取るのは申し訳なかったが、脱退料と、今までの感謝分として押し切られてしまった。
「今までありがとう、2人とも」
「…っ、元気でな」
「さようなら、月宮。」
「これからも頑張って」
あれから1ヶ月、何も無く過ごしていたはずだったが、ベットの上に一通の手紙が置かれたことに気づいた。
「なんだこれ、メールバードか?」
手紙の機能で文章を読ませると
「月宮様、通達です。あなたの元パーティーメンバーだったユウト様とマナ様は、お亡くなりになられました。」と言われた。
「は!?」
~もう一度仲間と共に~
もし、自分が今大切にしていることが2度と出来ないとなったら人はどうするのだろうか。
僕は今パーティーメンバーと、ダンジョンに来ていた。
「さすがに、初心者パーティー用だと強くなってる自覚が持てないな。」
この人はパーティーリーダーで、古き親友でもあった。
「そうね、あと簡単に攻略出来ちゃうし、モンスターも弱い。」
「…で、でも…もう少し慣れるまで待ってくれないかな?」
「あ?」
僕の言った言葉がリーダーである、ユウトの反感を買ったのだろう。
「ご、ごめん、でもまだ数回しかダンジョンに来てないから…」
「…はぁ…月宮…お前はなんのために特訓を今までしてきたんだ?」
…確かに弓の練習を僕はたくさんしてきた
「うっ…でも…」
「いいか?」
僕の言葉を遮るようにユウトは言った。
「お前は、3年間努力を惜しまず特訓に励んできたはずだ。お前が止めなかったのも、その弓への愛だろ?」
「うん…」
そうだ、僕は遠くから敵を射抜ける。あの格好いいアシストを目指しパーティーに貢献できるよう努力したじゃないか!
「ありがとう…リーダー。」
「よせよ、あと俺もそこまで厳しく言うつもりは無い。お前のペースでいいんだ、頑張れ。」
なんていいリーダーなのだろう。と、俺は改めて周りから恵まれてることを実感した
「ありがとう…!」
「なーに見せられてんだか。」
「空気読めよ、マナ」
「だって、男同士の青春っぽい雰囲気なんて誰が興味あんのよー」
こいつは、マナ。名前から察するように魔法使いだ。ちなみにリーダーは一応剣士
僕とリーダーがパーティーを組んだ時から声を掛けられていたが、リーダーと話し合った結果入れることにした。
「それはそうと、月宮はどうしたい。」
正直、あれだけ特訓したとはいえダンジョンは慣れていないため怖いものは怖い。だが
「うーん…今までならまだこのダンジョンで慣れたいけど…いいよ、上級者パーティー用のダンジョンへ行こう!」
「よーし、その意気だ。いざとなったら守ってやるから安心しろ?」
「うん、ありがとう!」
こうして僕達は上級ダンジョンへとやってきた。だが、上級者ダンジョンは、今まで僕達が入ってきたダンジョンとは比べ物にならないほどにヤバいオーラがあり、僕とリーダーは気圧されていた。
「すごい圧があるな。」
「は、初めて来た…」
僕とリーダーは、ずっと一緒に居たため初級ダンジョンにしか入っていなかった。そのせいか少し怖気付いてしまった。
「…これはヤバいな」
「ここを僕達…今から入るの…?」
周りにはモンスターか人かも分からない血があったり、ダンジョンの入口は厳重にされているため、明らかに初心者ダンジョンとは違った。
「さ、早く入るわよ。」
「いや、なんでお前は落ち着いてんだよ。」
「え、だってこのダンジョンに来るの2回目なんだもん。」
と、マナはいきなりとんでもない事を言い出した。
しかし、ここに来たことがあると言うのなら初心者ダンジョンの攻略はつまらなかったかなと罪悪感が出てきてしまう。
「来たことあるなら言えや!」
「だって聞かれてないし…」
リーダーがツッコむと同時に僕は笑ってしまった。
「…まぁ1回行った経験があるんなら頼りにしてるぜ」
「リーダーがパーティーメンバーに頼ってしまう時が遂に来たか。」
「…なんか言ったか?」
「いえ、なんでも?」
2人の会話が漫才に聞こえ、僕はツボに入ってしまった。
あれほど緊迫していた空気はもう僕らにはなかった。
「さぁ、入ろうか」
リーダーの声に了承し、僕達は慎重にダンジョン内へ入っていった。中に入ると、より圧がかかったような気がした。
「ほんとに…僕は活躍できるのかな…」
「大丈夫だ、お前はいつも通りやればいい。何かあったとしても、俺がお前を守るよ」
リーダーは、本当にすごい。
ここに来たこともないはずなのに…怖くないはずなのに、僕を守ると言ってくれたり。
「でも、手震えてるわよ?」
「…これは武者震いに決まってんだろ?」
「ふふっ、冗談よ。」
「何がだよ…」
マナがリーダーをからかっているといきなり後ろから気配がした。
「どうした?月宮」
「後ろに何か気配、感じた…敵かも…」
「そうか、2人とも戦闘準備を始めよう。」
「言われなくても分かってるわよ。」
どんなモンスターが出てくるかと思ったその時、人影が見えた。
「……人だったな。」
「なーんだ、緊張して損した。」
「でも、そういう心構えは大切だぞ?」
こんな、ダンジョンの入口付近で戦うなんてあったらこの先…一体いくつもの戦闘を繰り返さねばいけないのやら、そう思っていた矢先
「はいはい、ってあの人達何か変じゃない?」
さっき見えていた人影が体全体を映し、段々とこちらへ向かっていたのだが、あの人と言えるのかは分からないが…目が2人とも光っていた。
「まぁ、ダンジョンは暗いしそう見えるんじゃないか?あっちは入口だし。」
「そういうもんなのかなぁ」
しかし、そういうのは人間ではなく猫などにしか起こらないのだと思っていたのだが…
「あ、そうだ。一緒にダンジョン攻略できるか聞いてみない?」
「あぁ、そうだな。人数が多いに越したことはない」
僕は2人に近づき声を掛けようと思ったその時、2人が同時に僕へ剣を抜いてそれを振りかざしてきた。
「月宮!!」
避けることも出来ず剣で僕の目が斬られ、今まで感じたことの無いような痛みに襲われた
「ぐぁあああ!」
そして、ユウトは剣を取り出しその人型モンスターに向かって飛び出した。
「<身体強化>フィジカルアップ」
マナが詠唱し、ユウトはその勢いで1匹に傷を負わせることが出来た。
「………」
マナもいる中2対1だと勝てないと判断したのか即座に逃げていった。
「月宮!大丈夫か!?」
「…あぁ、回復ポーションもあるし、切り傷もそこまで…」
僕はそこで異変を感じた。
「…? どうした」
「…見えない…」
「見えないって…まさか失明!?」
リーダーは僕が聞いた事が無いほど、声を荒らげて言った。
「分からない、でも…見えないんだ……」
「さっき斬られたところよく見せてみろ…」
リーダーは長い沈黙だったため、事態がかなり深刻だと言うことを思い知らされた。
「ダメだ…目の奥の方まで斬られてる…」
「そんな…」
「今日は急いで帰ろう。ギルドにも行って、失明を治せるか聞いてみよう。」
そうだ、まだ治る可能性があるかもしれない、そう期待を抱いていた時「待って」と
マナが声を掛けた
「どうした、マナ?」
「失明はもう治らないと思う」
「…なんでそんなこと言い切れるんだ?」
「今見たけど目の傷、神経の所までいってると思うの。」
僕はそれを聞いて絶望した。回復ポーションがあったため痛みはなかったが、そこまで重症だとは思いもよらなかった。
「いや…でも分からないだろ!?」
「神経まで治せるほどの医者がこの世にいる?」
「……っ」
ここまで言われるとリーダーは黙ってしまった。確かに、神経までを治してしまうほどの医者など聞いた事もなかった。しかし、弓使いにとって目が見えないのは致命傷だった。
「ウソ…だろ、僕もう弓使えないの…?」
「えぇ…残念だけど。」
僕が絶望していると、リーダーが声を震わせながら話し始めた。
…泣いているのだろうか
「…もう…月宮とはダンジョンに行けないのか…?」
「…そうね、目が見えないとなるとそうなるわね」
そうマナが言うとリーダーは泣いていた…ようだ普段は滅多に泣かないあのユウトが。
「ただ空間把握能力を手に入れれば話は別かもしれないけど」
僕はこの世界で数十年は生きてきたが空間把握能力なんて聞いたこともなかった。
「なんだ、それは…」
リーダーも聞いたことが無いと知り一安心していると、マナが話を続ける。
「アルティメット(幻想級)スキル、の1つに入れられる能力よ」
アルティメットスキルとは、この世に5つしか存在していない、究極の能力のことだ。
これを所持している人物は世界でも10人はいないと言う。
「それは、どうやって手に入れられるんだ…?」
「それは分からないわ」
そりゃそうだ、知っていたら所持している人数がこれ程少ないなんておかしいに決まってる。
……空間把握能力はどんな能力なのだろう。
「…とりあえず、今日の所は宝箱とって帰りましょ。」
「あぁ、そうだな。しかし……月宮はこれからどうするんだ?」
「それを決めるのはアンタの仕事でしょ」
「俺は月宮に聞いたつもりだったんだがな」
……僕は弓が好きだ。だから、こうしてダンジョンにいる。しかし、目が見えなくなってしまい、マナが言っていた空間把握とやらを手に入れられる可能性が低いとは分かっていた。だからこそ……もう決心はついていた。
「いいよ…僕はもうダンジョンは諦める。」
「諦めていいのか…?」
いいはずない、これからこうしてダンジョンを攻略したりしながら生きていくと思っていた。…ただ
「正直言うとめっちゃ悲しいんだよ? まだ弓も射ちたいし…2人と冒険したい。けどここまでになると、もう…ね?」
「悪ぃ、俺が守るって言っておきながら…」
「いや、あれは僕が悪いよ。自分勝手に行動したから自業自得、もう割り切っていこ」
僕は今平然と話すことが出来ているか分からないが、とりあえず立ち上がりリーダーの肩を借りつつも宝箱を開けて家に帰った。中身は全部受け取るのは申し訳なかったが、脱退料と、今までの感謝分として押し切られてしまった。
「今までありがとう、2人とも」
「…っ、元気でな」
「さようなら、月宮。」
「これからも頑張って」
あれから1ヶ月、何も無く過ごしていたはずだったが、ベットの上に一通の手紙が置かれたことに気づいた。
「なんだこれ、メールバードか?」
手紙の機能で文章を読ませると
「月宮様、通達です。あなたの元パーティーメンバーだったユウト様とマナ様は、お亡くなりになられました。」と言われた。
「は!?」