「ビコォン…」モノアイの音とともにその異形の機体は動き出した。左腕に伸縮式の巨大アームに右腕と一体化したビームソード。それはまさに異形の機体といえる。このモノアイの眼差しにフランクリンは恐怖を覚えた。
「とにかく斬るしかないっ!」
フランクリンがブレードで斬りかかると、その機体はフランクリンの動きを読んでいたかのように左腕を伸ばしてホマテーベを掴み、あっという間に拘束した。
「クソッ…捕まったか。」
フランクリンが言う。
???「ジジッ…ザー… 聞こえているか、赤い機体のパイロット。」
どうやら接触回線が拘束されている間に繋がったらしい。
「聞こえているさ。要件はなんだ?」
???「要件ってほどの事じゃない。ただ君と話したいだけさ。」
「要件ねぇなら切らせてもらうぜ。」
フランクリンは回線を切った。その後すぐに着信がきた。テムズからだ。
「フランクリン、今何が起こっているんです?」
作戦の経過を伝える連絡がなかったのを心配し、テムズから連絡してきたようだ。
「今はヤベェ感じだ。基地内にいた敵機体に拘束されてる。お前のスナイパーライフルで敵機体を撃てるか?」
「それは難しいです。こちらもサーモスコープによってホマテーベと敵機体の大体の位置は捕捉しているのですが、実際に敵機体を視認できないとホマテーべに当たるかもしれません。」
「じゃあ俺がこいつを外へ誘導する。外に出てきたら敵機体の左手を撃ってくれ。」
「わかりました。ではお願いします。」
通話を終えた。
「ミシッ」何かが軋む音がする。どうやら敵機体がアームのパワーを上げているらしい。
「くっ、ああ言ったは良いものの、外に誘き出すってどうすれば…」
フランクリンは思考を巡らしながら呟いた。すると、一つの考えに行き着いた。ホマテーベの持てる最大のスラスター出力をもって敵を自分ごと移動させるのだ。フランクリンはこの考えを実行に移した。
「うおぉおおおおお!!!!!!動けぇええええっ!」
ホマテーベの全スラスターを一方向に集中させる。そして、スラスターを吹かし始めてしばらくした頃、フランクリンの願いが通じたかのように敵機体は高速で動き出した。
「バコンッ」この大きな音と共に敵機体とホマテーベは基地の壁を突き破り、外へ出た。
「出てきた!やりましたねフランクリンさん。」
テムズが駆るウオック・ラストムがスナイパーライフルを構え、敵機体を狙い、撃った。その弾丸は大きな放物線を描いて進み、見事に敵機体の左腕に当たった。
「バキッ」敵機体の左腕は弾が当たった箇所から折れ、ホマテーベは自由を取り戻した。
「これで終わりだぁあああ!!」
ホマテーベがブレードを構え、斬った。敵機体は真っ二つになり、その場に沈黙している。ついに勝ったのだ。
「勝ちましたね。」
「あぁ、そうだな。」
フランクリン達エンペリアル・ガードは異形の機体に打ち勝った。