玄関口でイザベラ嬢とクララ嬢に挨拶をした後、あれよあれよという間に二人に挟まれ、抵抗する間もないままにイザベラ嬢の私室に連行されてしまった。
その途中で、カノッサ公爵と奥様であろう公爵夫人、イザベラ嬢のお兄さんと思われる方々が見えた。
カノッサ公爵やお兄さん方は、娘に付いた悪い虫を見るかのように俺をギロリと睨みつける。
それに対して公爵夫人の方は、ニコニコと微笑んだまま俺を見ていて、何を考えているのか分からなかった。
メイドさんが机の上に紅茶とお菓子を用意し、静かに部屋から去っていく。すると、イザベラ嬢とクララ嬢の雰囲気が、令嬢のものから普通の人のものに変わる。
「ふぅ~、令嬢らしくしているのは疲れるわ~」
「そうね。でも、慣れるとそれも普通になるわよ。昔は切り替えが難しかったけど、今はそうでもないしね」
「イザベラは凄いよね」
どうやら二人とも、前世の日本では俺と同じく上流階級とかの生まれではなく、一般庶民の家庭の生まれだったみたいだな。
それだけで親近感が湧いてくるのは、やはり転生者同士だという事が大きいのかもしれないな。
「それじゃあ早速、私たちの秘密の会議を始めましょう」
「お~‼」
「お、お~」
「ウォルターさん、クララの真似をしなくても大丈夫よ」
イザベラ嬢が俺を微笑ましく見てくる。
頬が熱くなり、恥ずかしくて俯いてしまう。そんな俺の様子を見て、イザベラ嬢とクララ嬢がクスクスと笑いだす。
「笑わなくてもいいじゃないですか」
「ごめんなさい。でも、あまりにも可愛らしくてね」
「凄い可愛かったよ」
「そ、それよりも、早く本題をお願いします」
女性に可愛いなどと言われるのは、前世も含めて初めてだ。気恥ずかしさから、さらに顔が熱くなっていく。
このままだといじられ続けると思った俺は、二人に本題に入ってもらうようにお願いする。
「そうね。時は金なり。時間は有効に使わなくてはね。少し長い話になるけど、聞いて頂戴」
「分かりました」
そこから語られたのは、一人の転生者の少女が公爵家という家が持つ巨大な力を使って始めた、長く苦しい戦いの記録だった。
まあ簡単に言ってしまえば、このファンタジー世界の衣食住のレベルを、日本の衣食住のレベルと同等にまで引き上げようと考え、実行に移してきたみたいだ。
そして、十五歳の時に入学した魔法学院でクララ嬢と出会い、互いに転生者だと分かり、二人で協力して生活基準を上げようと必死にやってきたようだ。
そうして、ここまでの十七年間でそれなりに発展する事が出来たようだ。
だがそれはあくまで女性目線での、女性中心での発展であった。男性向けの発展が進まず、転生者であっても、女性二人では中々難しいと痛感していたそうだ。そんな所に現れたのが、男性の転生者、つまりは俺だったという訳だ。
「そんな訳で、ウォルターさんには男性目線からの意見をいただきたいと考えています。協力していただけますか?」
「同じ転生者同士、協力してくれないかな?」
二人は共に笑顔を浮かべているが、イザベラ嬢の背中にはあの見張りの時と同じように龍の幻影が浮かび上がり、クララ嬢の背中にも虎の幻影が浮かび上がっている。
「喜んで、お引き受けいたします」
魔物相手の戦闘に関しては、俺もそれなりの自信はある。
だが、男として女性と戦う事に関しては無力なのだ。だから俺は、静かな圧を放つ二人に対して素直に頭を下げて、協力を引き受ける事を了承した。
その途中で、カノッサ公爵と奥様であろう公爵夫人、イザベラ嬢のお兄さんと思われる方々が見えた。
カノッサ公爵やお兄さん方は、娘に付いた悪い虫を見るかのように俺をギロリと睨みつける。
それに対して公爵夫人の方は、ニコニコと微笑んだまま俺を見ていて、何を考えているのか分からなかった。
メイドさんが机の上に紅茶とお菓子を用意し、静かに部屋から去っていく。すると、イザベラ嬢とクララ嬢の雰囲気が、令嬢のものから普通の人のものに変わる。
「ふぅ~、令嬢らしくしているのは疲れるわ~」
「そうね。でも、慣れるとそれも普通になるわよ。昔は切り替えが難しかったけど、今はそうでもないしね」
「イザベラは凄いよね」
どうやら二人とも、前世の日本では俺と同じく上流階級とかの生まれではなく、一般庶民の家庭の生まれだったみたいだな。
それだけで親近感が湧いてくるのは、やはり転生者同士だという事が大きいのかもしれないな。
「それじゃあ早速、私たちの秘密の会議を始めましょう」
「お~‼」
「お、お~」
「ウォルターさん、クララの真似をしなくても大丈夫よ」
イザベラ嬢が俺を微笑ましく見てくる。
頬が熱くなり、恥ずかしくて俯いてしまう。そんな俺の様子を見て、イザベラ嬢とクララ嬢がクスクスと笑いだす。
「笑わなくてもいいじゃないですか」
「ごめんなさい。でも、あまりにも可愛らしくてね」
「凄い可愛かったよ」
「そ、それよりも、早く本題をお願いします」
女性に可愛いなどと言われるのは、前世も含めて初めてだ。気恥ずかしさから、さらに顔が熱くなっていく。
このままだといじられ続けると思った俺は、二人に本題に入ってもらうようにお願いする。
「そうね。時は金なり。時間は有効に使わなくてはね。少し長い話になるけど、聞いて頂戴」
「分かりました」
そこから語られたのは、一人の転生者の少女が公爵家という家が持つ巨大な力を使って始めた、長く苦しい戦いの記録だった。
まあ簡単に言ってしまえば、このファンタジー世界の衣食住のレベルを、日本の衣食住のレベルと同等にまで引き上げようと考え、実行に移してきたみたいだ。
そして、十五歳の時に入学した魔法学院でクララ嬢と出会い、互いに転生者だと分かり、二人で協力して生活基準を上げようと必死にやってきたようだ。
そうして、ここまでの十七年間でそれなりに発展する事が出来たようだ。
だがそれはあくまで女性目線での、女性中心での発展であった。男性向けの発展が進まず、転生者であっても、女性二人では中々難しいと痛感していたそうだ。そんな所に現れたのが、男性の転生者、つまりは俺だったという訳だ。
「そんな訳で、ウォルターさんには男性目線からの意見をいただきたいと考えています。協力していただけますか?」
「同じ転生者同士、協力してくれないかな?」
二人は共に笑顔を浮かべているが、イザベラ嬢の背中にはあの見張りの時と同じように龍の幻影が浮かび上がり、クララ嬢の背中にも虎の幻影が浮かび上がっている。
「喜んで、お引き受けいたします」
魔物相手の戦闘に関しては、俺もそれなりの自信はある。
だが、男として女性と戦う事に関しては無力なのだ。だから俺は、静かな圧を放つ二人に対して素直に頭を下げて、協力を引き受ける事を了承した。