ディアナ「ふひひっ。
見ろ、レイナード!」
ディアナの弾む声で顔を上げると、そこには見事な雪の家が出来ていた。
レイナード「こんなに早く、
ひとりでできるものなのか」
雪で作ったその家は、大人が何人も入れるほど大きなサイズだった。スピナーが入るぶん、大きく開いた入り口のため、人間用にはまだ未完成である。
ディアナ「スピナーと、よく入ったもんだ。
天竜の私にかかれば、
こんなもの昼ごはん前だ」
そう言って腹の虫を盛大に鳴らす。
ディアナ「スピナーの肉は固くてあまり
美味しくなかったが、鶏肉はよい。
それに干し葡萄のパンもあるぞ」
ディアナの提案の通り、昼食を済ます。薪になる木の枝は集まらなかったが、スピナーの積んだ薪はもしものときのために、多めに用意されていた。
レイナード「ディアナ…明日、国に戻ろう」
ディアナ「うむ。一日で着くかわからんが。
どうなったかは私も気になる」
ディアナは、スピナーを雇っていた竜屋の仲間の竜たちと、世話になったあの主人を思い浮かべたが、生きている可能性は低い。
レイナード「復興ができればいいが、
約束をまだ果たしてない」
ディアナ「約束ぅ? ふぁーあ…」
鶏肉のもも肉で空腹を満たしたので、スピナーの毛皮を敷いてくつろぐディアナ。
スピナーの大きな尻尾が雪の家の入り口を支配し、風を防ぐと午睡を誘い、大きなあくびをした。
レイナード「したぞ! 忘れたのか」
ディアナ「なら私が忘れるはずなかろうが!
約束になってないに決まってる」
レイナード「俺を案内するって言っただろ」
ディアナ「それは成人したらの話で、
金も払えんのなら成立もしない。
条件が整ってないもんを
約束とは言わん」
寝そべったまま頬杖をついて、思いつきに笑う。
ディアナ「ははぁ、わかったぞ?
私の死に際を勘違いして、
勝手に盛り上がっとったな。
俺をひとりにするなーって」
彼女に言われてあの夜を思い出し、レイナードは恥ずかしさに赤面する。
ディアナ「ふひひっ。
レイナードはそういうとこが、
面白いから私は結構好きだぞ」
その言葉に、レイナードは反射的に口を開いた。
レイナード「なら、結婚しよう!」
ディアナ「…はぁ? なぜそうなる」
レイナード「えっ…いや…いいだろ!」
理由がすぐに思い浮かばず、逆ギレする。
ディアナ「愚息の愚息は頭まで愚息か!
いや、いまじゃただの愚息か!」
レイナード「愚息愚息って言うな!」
ディアナ「ならば証明してやる!」
レイナード「えっ? なにを…」
ディアナ「愚息じゃないんだろ?」
未だに下着姿のディアナが雪の家から這い出る。彼女の不敵な笑みに、レイナードは恐れおののく。
レイナード「いや、待って、
こころの準備が…」
ディアナ「愚息が言い訳するんじゃない!」
初対面のころの威勢の良さはどこへやら。レイナードはディアナの細腕からでも生じる怪力で両足を引っ張られ、雪の家に引きずり込まれた。
見ろ、レイナード!」
ディアナの弾む声で顔を上げると、そこには見事な雪の家が出来ていた。
レイナード「こんなに早く、
ひとりでできるものなのか」
雪で作ったその家は、大人が何人も入れるほど大きなサイズだった。スピナーが入るぶん、大きく開いた入り口のため、人間用にはまだ未完成である。
ディアナ「スピナーと、よく入ったもんだ。
天竜の私にかかれば、
こんなもの昼ごはん前だ」
そう言って腹の虫を盛大に鳴らす。
ディアナ「スピナーの肉は固くてあまり
美味しくなかったが、鶏肉はよい。
それに干し葡萄のパンもあるぞ」
ディアナの提案の通り、昼食を済ます。薪になる木の枝は集まらなかったが、スピナーの積んだ薪はもしものときのために、多めに用意されていた。
レイナード「ディアナ…明日、国に戻ろう」
ディアナ「うむ。一日で着くかわからんが。
どうなったかは私も気になる」
ディアナは、スピナーを雇っていた竜屋の仲間の竜たちと、世話になったあの主人を思い浮かべたが、生きている可能性は低い。
レイナード「復興ができればいいが、
約束をまだ果たしてない」
ディアナ「約束ぅ? ふぁーあ…」
鶏肉のもも肉で空腹を満たしたので、スピナーの毛皮を敷いてくつろぐディアナ。
スピナーの大きな尻尾が雪の家の入り口を支配し、風を防ぐと午睡を誘い、大きなあくびをした。
レイナード「したぞ! 忘れたのか」
ディアナ「なら私が忘れるはずなかろうが!
約束になってないに決まってる」
レイナード「俺を案内するって言っただろ」
ディアナ「それは成人したらの話で、
金も払えんのなら成立もしない。
条件が整ってないもんを
約束とは言わん」
寝そべったまま頬杖をついて、思いつきに笑う。
ディアナ「ははぁ、わかったぞ?
私の死に際を勘違いして、
勝手に盛り上がっとったな。
俺をひとりにするなーって」
彼女に言われてあの夜を思い出し、レイナードは恥ずかしさに赤面する。
ディアナ「ふひひっ。
レイナードはそういうとこが、
面白いから私は結構好きだぞ」
その言葉に、レイナードは反射的に口を開いた。
レイナード「なら、結婚しよう!」
ディアナ「…はぁ? なぜそうなる」
レイナード「えっ…いや…いいだろ!」
理由がすぐに思い浮かばず、逆ギレする。
ディアナ「愚息の愚息は頭まで愚息か!
いや、いまじゃただの愚息か!」
レイナード「愚息愚息って言うな!」
ディアナ「ならば証明してやる!」
レイナード「えっ? なにを…」
ディアナ「愚息じゃないんだろ?」
未だに下着姿のディアナが雪の家から這い出る。彼女の不敵な笑みに、レイナードは恐れおののく。
レイナード「いや、待って、
こころの準備が…」
ディアナ「愚息が言い訳するんじゃない!」
初対面のころの威勢の良さはどこへやら。レイナードはディアナの細腕からでも生じる怪力で両足を引っ張られ、雪の家に引きずり込まれた。