神戸エリカ(カンベエリカ)、17歳。
父親は大学で教育学を教えている大学教授で、母親はテレビ番組にも出演して本も何冊か出版している料理研究家だ。
兄弟姉妹はいない。
この日は、予備校の日だった。
入りたいと言った覚えもなければ行きたいと言った覚えもないのに両親が勝手に入れた予備校での授業が終わると、わたしは外に出た。
カバンからスマートフォンを取り出して時間の確認をすると、9時30分だった。
予備校がある日の門限は10時までである。
「そうだ、ノートを買わなきゃ」
学校で使っている数学のノートがなくなりそうだったことを思い出すと、わたしは駅前にあるショップに足を踏み入れた。
「あった」
A4のノートを手に取ると、もう少しだけ時間があるので店内を見て回ることにした。
後少しで閉店時間が近いと言うこともあってか、客はそんなにもいない。
「あっ」
視界に入ったそれに気づいて、わたしは手に取った。
それは、今話題になっている口紅の新色だった。
「キレイだな…」
この色、使い勝手がいいってSNSで話題になってたんだよね…。
「これ、欲しいな…」
そう呟いてみるけれど、手元にあるお金はノートのお金だけである。
父親は大学で教育学を教えている大学教授で、母親はテレビ番組にも出演して本も何冊か出版している料理研究家だ。
兄弟姉妹はいない。
この日は、予備校の日だった。
入りたいと言った覚えもなければ行きたいと言った覚えもないのに両親が勝手に入れた予備校での授業が終わると、わたしは外に出た。
カバンからスマートフォンを取り出して時間の確認をすると、9時30分だった。
予備校がある日の門限は10時までである。
「そうだ、ノートを買わなきゃ」
学校で使っている数学のノートがなくなりそうだったことを思い出すと、わたしは駅前にあるショップに足を踏み入れた。
「あった」
A4のノートを手に取ると、もう少しだけ時間があるので店内を見て回ることにした。
後少しで閉店時間が近いと言うこともあってか、客はそんなにもいない。
「あっ」
視界に入ったそれに気づいて、わたしは手に取った。
それは、今話題になっている口紅の新色だった。
「キレイだな…」
この色、使い勝手がいいってSNSで話題になってたんだよね…。
「これ、欲しいな…」
そう呟いてみるけれど、手元にあるお金はノートのお金だけである。