「遅い!

何時だと思ってるの!?」

家に帰ったとたんに、母親に怒鳴られた。

門限は午後5時までって小学生かよ。

と言うか、3分くらい別に見逃してくれたっていいじゃないか。

心の中で呟きながら、
「…すみませんでした」
と、わたしは謝った。

母はあからさまだと言わんばかりに息を吐くと、わたしの前から離れた。

言い訳は聞いてくれないし、することも許してもくれない。

したところで「言い訳をするな!口答えをするな!偉そうにするな!」と殴られて、ひどい時はその日の食事を抜きにされるのがオチだ。

わたしは着替えをするためにローファーを脱ぐと、2階にある自室へと足を向かわせた。

自室に足を踏み入れてカバンを机のうえに置くと、わたしは息を吐いた。

学校にも家にも居場所がない。

友達もいない、両親や先生を始めとする大人たちは誰も味方になってくれない。

「いつまで続くんだろう、この生活…」

心が満たされない、胸の中が苦しい、息をするのもやっとなくらいだ。

「何かないかな…」

胸の中がスカッとするような、それでいて楽しくておもしろい出来事が何か起きないだろうか?

そんなことを呟いて、この生活から抜け出すことができるならば誰も苦労しないか…。