「ちょっと…誰か、先生を呼んだ方がいいんじゃない?」

「あたし、嫌だよ…」

「止めに入れよ、委員長だろう」

「どうやって止めればいいんだよ、殴られたくないよ…」

「僕、知らない…」

周りは勝手なことばかりで何もしてくれない。

「だいたい何だよ、そのメイクは!?

寝不足で疲れてんのかよ!」

「はあっ、違うし!?

地雷メイクなだけだし!」

…ああ、うるさい。

「あんたこそ、カバンにダサいキーホルダーをつけてるじゃん!」

「言っていいことと悪いことがあるぞ!?

よくも俺が好きなバンドを侮辱してくれたな!?」

彼らの言い争いはヒートアップする一方だ。

うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい…。

ーーわたしの中で、何かが“プツリ”と切れた音がした。

ガン!

周りの視線がわたしに集中したのがわかったし、言い争いが止まったのもわかった。

そりゃそうだろう、自分の机を蹴り飛ばしたのだから。

昼休み終了のチャイムが鳴った…けれど、わたしはカバンを手に持つと教室を出た。

「教室に戻りなさい!」

「まだ帰る時間じゃないぞ!」

何かを言われているような気がしたけど、わたしはそれらを無視すると下駄箱へと向かった。