「気分がいいからに決まってるじゃん」
と、わたしは言った。

「わたしが一軍の陽キャ連中にバカにされてることを知ってるよね?

放課後の掃除を押しつけられたり、ゴミを投げ捨てられたり、自分からわざとぶつかってきたうえにひどいことを言われたりと、わたしがあいつらからそんな扱いを受けてることを知ってるよね?」

大滝くんは何も言えない様子だった。

「家でもそうよ。

予備校がない日の門限は5時までで、1分でも遅れたら叱られる。

言い訳をしようものならば殴られて、ひどい時は食事を抜きにされる。

おこづかいもないから何か欲しいものがある時は申告をしてからお金をもらわないといけない。

メイクもアクセサリーも“色気づいている”と言う理由で身に着けるのはもちろんのこと、使うことも持つことも許してくれない。

肝心の大人たちは見てみぬふりで誰もわたしのことを助けてくれない。

学校でも家でも嫌われて居場所がないわたしの気持ちをあんたは考えたことがあるの!?」

「ーーあるよ」

今までの鬱憤を晴らすかのようにしゃべったわたしに、大滝くんは呟くように答えた。

「俺も…中学時代の時は、そうだったから」

大滝くんは言った。