えっ?

何こいつ、もしかして見てたの?

「したよ、それが何なの?

ああ、もしかして盗んだものを店に返せって言うの?

それとも警察に行って自首しろって言うの?」

「…その様子だと、悪いことをしたって言う自覚はないみたいだな」

何だこいつ、さっきから偉そうにしやがって!

一軍の陽キャだから何だか知らないけど、偉そうに注意しにくるな!

「当たり前じゃん。

少なくとも一軍陽キャのあんたたちに勝っていると思うよ?

と言うか、何であんたがここにいるの?」

わたしがバカにするように聞いたら、
「ここにいるも何も、ここは俺の地元だからだよ」
と、大滝くんが答えた。

えっ、そうなの?

ずいぶんと遠くから通っているんだな、おい。

まあ、初めて聞いたから当然なんだけど。

「本屋で新刊のマンガを買って、ちょっとウロウロしようかと思って店に入ったら、お前がマニキュアを盗んでいる現場に遭遇した」

マジかよ、そこにいたのかよ。

しかも、決定的な瞬間もちゃんと見ている。

「だから?」

そう言ったわたしに、
「お前、何でそんなことしているんだよ…」

大滝くんは信じられないと言った様子だ。