俺は父さんに会いに行った。
俺を見た時の父さんはニヤリと笑った。
「おぉ久しぶりだな」
「うん」
「今日はどうした?」
馴れ馴れしく話しかけんなよ。
俺と母さんを殺そうとしたくせに。
「父さんは俺の能力のこと、誰かに話した?」
「なんだよ。急にどうした?」
俺には父さんの心の中が丸見えだ。
父さんは神門に俺の能力をバラした上に神門のスマホで掲示板に書き込みをしていた
らしい。
「宮舘陽飛って名前、知ってる?」
「.....っ!」
「何でバラしたの?てか、何で陽飛の知ってんの?」
「....んで言わなきゃいけねぇんだよ」
俺を睨んだ父さんは獣のようだった。
でもそんなのに負けるような昔の弱い俺じゃない。
「さっさと言えよ!!」
俺の大声に怯んだ父さんは仕方なさそうに「色々あんだよ」って言った。
「宮舘のはあいつの里親から聞いた」
言葉にはしなくても俺には全部、分かるんだ。
俺と陽飛の秘密をバラした理由は出所して仕事が見つからない苛立ちをなくすためにストレス発散としてやったみたいだった。
自己中にも程があるだろ。自分にこいつの血が流れてるなんて最悪だ。
「もう俺に、俺の周りの人に関わらないでくれ」
最後のお願いだ。
俺は父さんに背を向けて歩き出す。
陽が落ちあたりは暗くなっていた。