「だからこの杉浦?の父親が言ってたんだって」
多分私たち3人とも困惑してたんだろう。
神門くんは呆れながら丁寧に説明してくれた。
「俺のバイト先に杉浦侑翔(すぎうらゆうと)ってやついて苗字同じ、名前に同じ漢字入ってるからまさかと思って『翔夜くんのお父さんですか』って聞いた。そしたら教えてくれたよ、『あいつは心が見える』って」
勝手に教えたんだ。
いくらお父さんだからって。
「父さん今どこいんの?」
「俺のバイト先。あぁ教えてやるよ。でも俺が言ったって言わないでね」
そういうと神門くんは店名と大まかな場所を言うと帰って行った。
「また今度行こうか。今日は帰ろ」
体育館裏には私と杉浦くんだけ残された。
どう思っているんだろう杉浦くんは。
怒り?悲しみ?
杉浦くんの表情からは何もわからなくて。
でも声に出して聞けるわけでもなくて。
まだわからないけど少しずつ広めた本人に近づいている。
そんな予感がした。