「杉浦くんっ!」
彼はいつもより表情が暗くて笑顔も固かった。
眠れてないんだろう。疲れているんだろう。
「あぁ音羽さん。何か言われてない?」
なんでこんな時でも杉浦くんは心配してくれるんだろう。
「うん、大丈夫。杉浦くんは?」
「大丈夫だよ」
嘘だ。いつもの余裕がない。私に見せてくれる本当の笑顔じゃない。
「....本当のこと、言って?」
下を向いた彼の手は細かく震えていた。
「...大丈夫じゃ、ないっ....!悲しい、怖い...!」
杉浦くんは涙を流しながら私に本当のことを話してくれた。
「うん、そうだよね。怖いよね...!」
私でさえ腹がたったんだ。
張本人はもっと深くダメージを負うはずだ。
杉浦くんは嗚咽を漏らしながら私に抱きついてきた。
私は一生懸命杉浦くんの背中を安心させるようにさすっていた。
窓の外には雨雲の中、1本の光が差し込んでいた。