小さい頃は心が見える事が普通だと思っていた。
だから人前で話していたりしていた。
百発百中で思ってる事を言い当てるから親戚や友達からは気味が悪い子として扱われた。
『とうや、怖ーい!おばけだー!!』
そんな言葉をたくさん聞いた。
気味の悪い俺を両親だけは俺を受け止めてくれた。
でも父さんは受け止めてくれてはいたけどそれには理由があった。
父さんは俺を金儲けに使おうとしたのだ。
人の顔を見るだけで本音がわかる自分の子供を商売道具として扱った。
老若男女問わずたくさんの人の本音を見てきた俺は幼いながらに人間不信になった。
血の繋がっている父さんだって俺を息子として見ていなかったから。
お腹が空いたと言えば殴られ、それで泣けば泣き止むまで蹴られた。
父さんは俺の能力を知ってからヒトが変わったようになった。
俺の能力で稼いだお金を使いお酒を買い、何本も飲み、母さんと俺に暴力を振るった。
母さんは俺を商売道具にするな
殴るな、蹴るな、お金を使いすぎるなと言ってくれた。
でもその度にDVを受けた。
小学4年生の冬、隣の家の人の通報のおかげで俺と母さんは保護され母さんと父さんは離婚した。
それで安心かと思いきや、母さんは父さんに車で轢かれた。
父さんからは頭が痛くなるほどの恨みや怒り、憎しみが見えた。
母さんは病院に運ばれて一命は取り留めたものの、下半身麻痺になり
車椅子が必要不可欠な生活を送る事になった。
一方、父さんは逮捕されて今はどこにいるのかすらわからない。
母さんにはその能力を誰にも言うなとキツく教えられてきた。
俺自身も能力のせいで散々な目にあってきたから誰にもバレないようにした。
それでもやっぱり口が滑ったりしてバレてしまった友達もいる。
いつも『キモい』『怖い』『おかしい』って言われてきた。
その度に母さんは俺に大好きだと言って優しく抱きしめてくれる。
母さんからの本音には嘘がない。
唯一安心できるんだ。