朝学校に着くとまず本を読む。それがいつもの私の習慣だ。
1番後ろの席に座り本を開く。
最初の数行を読んだだけで本の世界へと引き込まれる。
「きりーつ!」
もうチャイム鳴っていたのか。
号令係の声に合わせて立つ。
「気をつけー!おはようございまーす!」
元気のいい挨拶に反しクラスメイトの口からは、か細い挨拶が発せられていた。
私はというと声も出さずお辞儀だけした。
担任の佐久間先生はいつも元気でいわゆる熱血教師だ。
生徒によりそい生徒の1番を考える、生徒からも先生からも信頼がある先生。
新しいクラスになって1ヶ月。
まだ話した事ない人の方が圧倒的に多い。
それでも仲良い人はいないわけではなくて......
私は音羽奈月(おとはなつき)、彼女は風馬早羽(かざまさわ)。
音、花、月。
風、馬、早、羽。
私はよく早羽とよく一緒にいる。
お互い名前に "羽" という漢字が入っていて仲良くなった。
今では親友レベルだ。
私は自然、早羽は瞬足。
こんなに大好きな早羽と出会えて嬉しい。