杉浦くんと話したいよ。
でも、話したくない。
そんな気持ちを早羽に話したら「力になる」と言ってくれた。
あれから何か変わったわけではないが話した事で楽になったのは確かだ。
プルルルル
電話がなった。
「はい。早羽?どうしたの?」
慌てた様子の早羽は泣きながらも全てを話してくれた。
最初は泣いていて何て言ってるのか分からなかったけど聞いてくうちに早羽が何で泣いているのかわかった。
「私、早羽を助けたくて...全部杉浦に言ったの。杉浦にちゃんと考えさせたくて『那月が話したくないって言ってた』って話した。それで色々と感情が爆発して『いなくなって』『もう那月の前に現れないで』とも。そしたら杉浦は顔を青くさせて何かを深く考えている様子だった。それ見て私は帰ったけどあの時の杉浦の顔が今までにないくらい悲しんでいて......」
早羽は嗚咽混じりに「ごめん、ごめん....!那月」と言った。
「それで、杉浦はきっと私のせいでいなくなろうとしてる」
「話してくれてありがと。今、杉浦くんがどこにいるかわかる?」
「分からない、ごめん...!」と言った早羽はやっぱり泣いていた。
「わかった。ごめん、切るね」
泣いている彼女を1人にするのは気の毒だけど仕方ない。
杉浦くんとのトーク画面を開き、「今どこ」と送る。
いつも早かった既読と返信はなかった。
思わず電話をかける。
でも電話に出ないから切ろうとした瞬間、
「......はい」
久しぶりに聞いた杉浦くんの声だ。
「今どこにいる?」
「ごめん、音羽さん....!俺のせいで傷つけた」
そう言った杉浦くんは追い詰めている感じだった。
「大丈夫だよ!許すから....!今どこにいるか教えて?」
「.....学校前のイルカ公園」
「わかった!そこにいて」
プツ
電話を切り大急ぎで杉浦くんの元へと向かう。

汗だくで着いたイルカ公園には制服姿の杉浦くんがいた。
ちょっと見なかっただけで髪も伸びさらにかっこよくなっていた。
「何してたの?」
そう問うと杉浦くんは「反省してた」と答えた。
「音羽さん、本当ごめん。俺が話しかけたから」
杉浦くんは泣きそうな目でわたしを見つめてきた。
「そんなことない。杉浦くんは悪くない」
「ごめん、音羽さんは何をしていたの?」
何をしてたって。杉浦くんのためにきたよ。
「好きな人を助けるために飛んできたよ」
「好きな人って?」
恥ずかしいよ。それくらい察してくれないかな。
「す、杉浦くん」
きっと顔真っ赤だ。
「何で?」
「「すきだから」」
へっ?声重なったよね今。
何で?杉浦くんエスパー?
「俺はエスパーではないと思うよ」
声に出てたかな?てかエスパーじゃないんだ。
「声には出てない。見えるだけ」
見える?何が?待って、わからない。
「音羽さんの好きな人は心が見えるみたいだ」