「父上、つ、追放って……どういう事ですか!? 」

「なんだ? なにかおかしな事でも言っただろうか。タラアノカの家名を名乗るに相応しくない職業だから追放する。ただそれだけであろう」

「いや、え!? 確かに職業は最低クラスかもしれませんが、スキルは凄いじゃないですか! 【魔力無限】これなら無職というマイナスを補えれそうでは」

なんとか説得しようと試みる。

実をいえば無職でも魔法を使うことは出来る。だが普通職業が少しの魔力で行使できる魔法を、無職では数倍、数十倍の魔力を要する。

だが今まで無職で魔法を扱えるほどの魔力を有した者が居なかったため、無職は魔法が使えない、と伝えられてきた。

「何を言っておるのだ。無職が魔法を使える訳がないだろう!! いくら魔力が無限にあっても肝心の魔法が使えない無職はゴミではないか」

アースを蹴り上げ、肩を震わせながら言う。

「宝の持ち腐れの無能、貴様など我がタラアノカ家には要らん、とっとと出ていくがいい。この領地からも出て行ってもらうからな。金輪際この領地の土を踏むことは許さん」

そうして警備の兵士に協会の外につまみ出される。

蹴られた腹の痛みを堪えながら領地の外へと歩くアース。

何故こんな事になってしまったのか。

ここトーフルからも追放を受けたため、とりあえず近隣の領地を目指して歩く。

時間を短縮してはやく着きたい。

「この森林を通ればショートカットできたはずだ」

森林には魔物が蔓延っている。

中には危険指定されている魔物も。

「どうせ僕にはもう何も残ってない。もし魔物に殺されたらそれでいい」

決意を決めて森に入る。

休憩しながらも歩き続ける。

そしてもう少しで森林をぬける。

少女の叫び声が聞こえる。

声が発せられた方向に走る。

そこにはゴブリンの集団に囲まれた、傷だらけの少女が膝を地面にぺたりとつけ、手を震わせながらも剣を向けていた、