この世界では15歳になると教会に行き、スキルと適正職業が女神様より授けられる。

月に1度開かれる開花の儀式。

主人公のアースは、思いを馳せながら教会へと向かう。

勇者や剣聖、賢者などの英雄職業を授かり、語り継がれてきた勇者像を自分に当てはめて活躍する夢を現実にすべく。

アースは代々上級剣士を輩出してきた名家の貴族であるタラアノカ家の三男。

祖父は伝説の剣士、父は時空剣士、長男、次男はともに魔剣士であり三男のアースも家族だけにとどまらず領地の村人達にも期待を寄せられていた。

そんなプレッシャーに押し負けず、究極の最強職業だからと鍛錬を怠り遊んでばかりだった兄達とは違い毎日修行を積んできた日々を思い出す。

「今まで頑張ってきたんだ。女神様は見てくれているはず。僕ならきっとーーー」

女神像の水晶玉を握る。

水晶が淡い光を発し、石版に適正職業とスキルが浮かび上がった。

そこに書いてあったのは。

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名前:アース・タラアノカ (15)

適正職業:【無職】

スキル:【魔力無限】


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「お、おいアレ見ろよ。適正職業が無職だってさ! 」

「ぶははっ! あのタラアノカ家から無職が生まれたとかこりゃ傑作だ」

「でもスキルはなんか凄くない…? 【魔力無限】って…!! 」

「言葉通り所有魔力が無限、つまり魔法打ち放題ってことか!? 」

「それなら【無職】だとしてもそれをかき消せれるんじゃないのか」


この世界で最底辺の職業である【無職】。

無限の魔力を有する言葉通り最強のスキル【魔力無限】。

この真逆の2つを同時にその身に開花させたアースを前に、開花の儀式を見に来ていた村人達や、同じく儀式を受ける者たちがざわつき、次々と話しだす。

アースもこの状況にあたふたしている。

そんな異例の事態の中ここの領主でありアースの父であるマントスはため息をつきながら、アースの元に歩いていく。

重々しく口を開く。

「アース、貴様をこの家から追放する」

突然の追放宣言に驚くアース。

その場を見守っていた者たちもざわめき出す。