「桜樹くんっ!」
大きい背中に向かって叫んだ。
後ろを振り返った桜樹くんは少し緊張してるようだった。
「ねぇ俺のこと覚えてる?」
ん?どういうことだろうか。
「うん?桜樹遥我くんでしょ?」
桜樹くんはがっかりしたような悲しんでるような雰囲気だった。
「そうなんだけど。俺ら前に会ったことがあるんだ」
え?前に会ったことがある?
「ごめん。わからない」
「そうだよな、保育園が同じなんだけど」
そうなのか。
「あとごめん。俺のせいでお前の人生壊した」
え....?
「ご、ごめん。ちゃんと説明してくれる?」
「俺とお前は保育園が同じだった。俺はお前が好きだった。よくお前について行ってた」
同じ保育園。仲良かった男の子。桜樹くんに壊されたらしい私の人生。
思い出してきた。
あの地獄を。