コンコン
「柚羽ちゃん」
「夏那...!」
柚羽ちゃんは泣いていた。
右膝には絆創膏。左足首には湿布とサポーターが付けられていた。
「柚羽ちゃん......!もう泣かないで?」
「私のせいで...!みんなに迷惑かけて」
柚羽ちゃん...!
「リレー勝ったよ?怪我だって応急処置した」
「せっかく緋磨が1番早かったのに私がころんだから最下位になって......!」
「柚羽ちゃん!大丈夫!誰も責めないし怒らない。逆に怪我したのに走ってくれた柚羽ちゃんを褒めてくれるよ。だから大丈夫!安心して」
私は柚羽ちゃんを優しく抱きしめながらずっと繰り返し言っていた。
柚羽ちゃんは泣いていて私にしがみついていた。
大丈夫。みんな頑張った。しかも1位。安心して。
外からはまだ優勝を喜ぶ声が聞こえてきていた。