母さんが公園でそう言った日から、優衣花のことが、前よりも気になってきた。意識して近くにいることも多くなった。

 当時の自分は幼いながらも、彼女に何かしたいって考えていたんだと思う。

 友達が積み木をしたり、おままごとをしていても彼女はじっとその風景を眺めているから「一緒に遊ぼ?」って誘って、手を繋いで一緒に遊んでいる友達のところへ行ったりした。

 声は出さないけど、うなずいたり、首を振ったりして、返事はしてくれる。

 だんだん沢山話しかけていると、俺に慣れてくれたのか、微笑んでくれるようにもなった。ふわっとした笑顔が、すごく可愛かった。

 小学生になった。
 優衣花と同じクラスになった。

 優衣花は口数はすごく少ないけれど、高学年になると、学校で話をするようになっていた。

 俺はそんな優衣花を見て、まるで自分のことのように嬉しくて、心が弾んだ。

 相変わらず彼女が困ったりしたら助けたくて、さりげなく近くにいるのが当たり前になっていった。