「カルトさん、洗脳アプリの捜査協力しようか?」

 いつもの通勤の路地に待ちわびたように芳賀瀬まりかが立っていた。
 まりかは東王大に入り、今は大学生となった。将来はカルトのような捜査に関わる仕事をしたいと言っている。

「俺たちは刑事だ。関係者以外の捜査協力は認められていない。それに、一般人が容易に近づくのは危険だ」
「実は、洗脳アプリを作っているんじゃないかっていう人がうちの大学にいるんだけどなぁー」
「マジか?」
「朝ごはんおごってくれたら協力しようかなー」
 まりかは非常に頭の回転が速い。7歳も年下の学生に振り回されっぱなしだ。

「で、誰なんだ?」
 カルトは核心に迫る。
 にこりとしながら、まりかは朝食をねだる。いつも行く喫茶店を指さすまりか。
「あそこのモーニングがおいしいから、まずは食事しながらでしょ」
「あそこのトーストはお値段以上だよな。カリカリ感ともちもち感が半端ないよな」
「あの喫茶店を見つけたのは私が最初なんだからね」

 相変わらずの艶のある黒髪をなびかせるまりか。彼女とはあの事件以来、大学に入学してからも何かと接点があった。今は、カルトに対して敬語を使わないまりか。
 結とは真逆の性格のまりかとは意外と気が合うことに気づく。トーストの食感とか焦げ具合がいいとか、そういう些細な点が合致する。今は、こういう時間が一番大事だ。
 婚約者が略奪され、死亡した一番辛い時。傍で励ましてくれたのは芳賀瀬まりかだった。
 トーストを頬張るまりかとコーヒーの香りに包まれる時間は最高のひとときだ。
 秋沢葉次の行方は知れずのままだ。どこかで生きているのか? 死んでいるのか?
 彼の復讐の目的は同じ親から生まれた壮人だけが幸せになることを阻止することだった。
 今、新たなアプリが蔓延しているらしい。

【警告】
 もしかしたら、あなたのスマホに知らないアプリがインストールされているかもしれない。今すぐアプリ一覧を見てみることをお勧めする。