何故また生まれてきてしまったのだろうかー
童話で悪役とされた私は、今世で生まれてきてしまったその瞬間に、そんな事を思っていた。今では、転生者が半強制的に入学する童話学園に入学し、古い顔馴染みの方々と会うことが出来て良かったとは思っている。

ヴィレル「あら、もうそのウツボを見つけていたの?それにしては片割れの姿が見えないけれど。」
アーシェ 「あぁ、元からちゃんと生きていたのはもう1匹の方だけで、こちらは私がもう1匹くらいいた方が便利だからとつくったモノでしたので、こいつらが居ないと落ち着かなくってまたつくったモノなんですよ。」
ヴィレル「あぁ、だからウツボの姿のままなのね。」

美しさに拘る顔馴染みとそんな他愛のない話をしながらほかの方々を待っていた。

ローズ「おはよう。今日は早いのね、アーシェ、ヴィレル。」
ヴィレル「あら、おはよう、ローズ。」
アーシェ「おはようございます。ローズさん。」
ヴェール「ちょっと、置いていかないでちょうだい。ローズ。」
ローズ「あら、ヴェール、貴女が遅いだけでしょう?」
ヴィレル「あら、ヴェール、おはよう。」
アーシェ「おはようございます。ヴェールさん。」
ヴェール 「えぇ、おはよう。アーシェ、ヴィレル。」

ルールに縛られていた顔馴染みと継子いじめをしていた顔馴染みがやって来た。

ヴェール「2人とも今日は随分早く来たのね。何かあったのかしら?」
アーシェ「いえ、ただ少し早く目が覚めてしまっただけですよ。」
ヴィレル「あら、アタシは新しい美容品がでたからどんなものか確かめに早く出たら直ぐに用事が終わったから早く着いたのよ。それに、アンタ、本当に早く目が覚めただけなの?疑わしいわね。」
アーシェ「……ただ、今やっている研究が一段落したから早めに家を出てきただけですよ。」
ヴィレル「ほらみなさい。やっぱり隠していたわね。」
マレフィア「おはよう。今日は何の話をしているんだい?」

話をしていたら茨の魔女と呼ばれていた妖精の顔馴染みも来たみたいだ。

ヴィレル「いつも通り他愛のない話をしていただけよ、マレフィア。」
マレフィア 「そう。…ところで、今日は確か、上級生達との顔合わせ兼交流会…だったわよね?」
ヴィレル「……えぇ、…そうよ。私たちにとっては悪夢のような時間を過ごす事になるわね。」
アーシェ「おはようございます。マレフィアさん。ヴィレルさんもマレフィアさんも、あまり嫌なことを思い出させないでください。また蛸壺に引きこもりたくなります。」
ローズ「なら、また他愛のない話でもするとしよう。」
ヴィレル「えぇ、そうね。ローズ。」


アーシェ「……そういえば、ヴィレルさん、貴女、フロルドを見て何故ウツボの姿のままなのかと仰ったのです?普通はそのままなのではないのですか?」
アーシェ以外「「「「フロルド?」」」」
アーシェ 「このウツボの名前ですよ。」
ヴィレル「あぁ…入学式の時に、上級生の方に、狩人の姿があったの。それで…友人だと思う人に、『鏡』って呼び掛けていたのよ…。」
ヴィレル以外「「「「…………。」」」」
アーシェ 「それは…。なんとも不思議な話ですね。この通り、マレフィアさんはドラゴンの妖精のままで、私も、分からないかもしれませんがタコの人魚のままだと言うのに。」
マレフィア「……道具だったり、獣だったりした者達だけが人の姿になっているのかもしれないわね。」
アーシェ 「…マレフィアさん、そんな嫌な状況想像させないでください。」

ーーーーキーンコーンカーンコーンーーーー

担任 「さぁ皆さん、交流会の始まりですよ。聞いていますか?ヴィレルさん、アーシェさん、ローズさん、ヴェールさん、マレフィアさん。ちゃんと起きていてくださいね。」

五月蝿いな。そんなに私達が嫌がらせをされ陰口を言われて傷付いている姿が観たいのかこの担任は。いや、傷ついているとすら思っていないのか。いじめは駄目だといいながら私達に対するいじめはいいとでも言うのか?私達が何故あのような事をしたのか知りもせず、知ろうともしないくせに?巫山戯ているとしか思えませんね。まぁ、もう今更こんな奴ら如きのせいで傷つくことなどありはしませんが。