歴史上最強の呼び声も高い皇帝を擁するその帝国は、大陸統一を目前に控えていた。
 帝国以外に大陸に残されたのは弱小国家ザッコー。
 国力差を見れば圧勝も圧勝、相手は風前の灯であった。
 にも関わらず帝国がザッコーを最後まで残し警戒したのは、彼らが切り札を残していたからだ。

 それは異世界召喚術。
 かつて此処とは異なる世界、ゲンダイニホンからザッコーが召喚した勇者は、世界を滅ぼしかけた魔族の王と対峙し、世界を救ったと言う伝説がある。

 しかし、どうやら今回ザッコーのその異世界召喚は失敗に終わったらしく、呼び出されたのは特に強い力を持たない病弱な少女。
 それだけでも帝国の勝利はほぼ揺るぎないが、更に万全を期す為に、皇帝は二人の男を派遣する。
 大陸一の強さを誇る最強の剣士と、同じく大陸一の攻撃力の破壊魔法を使う最高の魔導士。

 彼らの参戦でザッコーは万に一つの勝機すら潰え、皇帝としては、あとは朗報を待つのみ。

 の、筈であった。

 しかし数日後に皇帝が告げられたのは、最強剣士と最高魔導士が敗れ、重症になって帰って来たと言う報告であった。

 ザッコーで何があった!?

 皇帝は耳を疑うと共に先代皇帝の「ザッコーを舐めてかかってはいけない」と言う遺言を思い出すのだった。