疑問に思ったメグは、盗作した人のピコアプの自己紹介ページを見た。

『アニメもマンガもゲームもだーい好きです♪
 絡んでくれる人大募集♪♪♪

 SNS垢↓』

 SNSのアカウントをご丁寧に載せていたものだから、メグはなんとはなしにその作者のSNSのリンクを踏んでそれを読み……頭痛はさらに激しくなった。

【〇〇:はあ~、タクアヤ最高~、書いたから読んで読んでー つ【https://〇〇……】】

【〇〇:みもちゃんに頼まれて書いたタクアヤ小説です☆ 感想くれたら嬉しいなあ~ つ【https://〇〇……】】

【△△:タクアヤ読みたいー、どうしてこんなに少ないのかなあ、公式じゃん】
【〇〇:>>△△:そんなあなたにつ【https://〇〇……】】
【△△:>>〇〇:うお、タクアヤー!!まじありがとう!!】

【〇〇:タクアヤはさっさと結婚すればいいんだよ。バディなんだし、夫婦じゃん】





 メグは黙ってその作者のSNSをブロックし、ミュート機能に【タクアヤ】と登録しておいた。
 そしてピコアプについているミュート機能にも、黙って【タクアヤ】と登録する。

「……お姉ちゃん?」
「うん。この作者、盗作したことなにひとつ反省してないし、はっきり言って同じ作品好きな人だとは思いたくない。もう原作で絶対に付き合うってわかってるカップルだから、原作以外信じない」
「え、なにそれ」
「見てもいいけど、気分悪くなっても知らないよ?」

 正直、「この人盗作犯です」とSNSに触れ回りたい衝動でいっぱいになったのは事実だ。だが、ただでさえピコアプでは本当に小さなジャンルなのだ。ただでさえ狭いジャンルで暴れまわったら、下手したらジャンルそのものに迷惑をかける恐れがある。
 そもそも、盗作された作者たちは、盗作された事実にすら気付いていないのだ。小説を書いている人間はデリケートで、悪口ひとつ書かれただけで筆を折ってしまう人だっている。盗作された人たちの作品自体はいいものだったのだから、その人たちにうっかり火の粉が被るような真似はしたくなかった。
 自分は見て見ぬふりをするし、このカップリングにはもう関わらない。原作さえあればいい。
 気分を変えるように、メグはマキに声をかけた。

「さっきの話、もう一度見ようか。あれは燃えたね」

 それにあいまいにマキも頷いた。

 実際、このふたりは本当にいいタイミングでこのジャンルから離れたのがよかった。
 これから起こる騒動に対して、このふたりは全く知らない間にはじまるし、終わる。もしこのジャンルをずっと追いかけていたら、そのニュースで胃を痛めていたのだから、純粋なファンのままではいられなかっただろうから。