絶対叶わないってどこかでは分かってるけど、






黒羽くんと話したい、恋人になりたいと願っている。









「…でさ、マジでやばくない?」


「っへ、何が?」



知らないうちに小夜(さや)との話が進んでいて、聞き直せば呆れたような顔をされた。



「んもー、花蛍(かほ)また聞いてなかったの?」

「ごめんごめん、Jammersのデビュー未だに信じられなくてさ、頭まわんないんだよねー」

「ほんとにそれな?!もうまっじで!そうそれで、デビューツアーのグッズ見た?あれマジでやばくない?」



慌てて取り繕って適当に返事をすると話が違う方向に逸れて安堵する。




「わかる!めっちゃくちゃビジュ良くないあのアクスタ!!もう安定で黒羽くんもかっこよかったけど、今回全員ビジュ良くない?」

「そう!うちの琉唯(るい)がとうとう大人の色気みたいなの出してきてさー、ほんとこまる!普段からあどけなくて可愛いのにもうギャップやばくない?!」




高校に入ってから仲良くなった小夜は最年少の宮原(みやはら) 琉唯くん推しだけど、同担拒否とかリア恋、みたいなものはないらしい。





小夜には、私も普通に推してるだけだよー、と伝えてある。








…誰にも、知られたくなかった。






「琉唯くん2個上だよね?とはいえ最近大人っぽくなってきたよね、」

「そうなの!可愛くてもかっこ良くても全部似合っててもうほんっと尊くてさー、あ、てかてか、ツアー申し込む?」

「そりゃそうでしょ、近いとこがいいなーとは思うけど全公演申し込むよ、無理だとは思うけどさー、全部当たって欲しいよねー」

「それな?まじで全部行きたい、あわよくば認知とか」

「認知は流石に無理でしょ、」



無茶な小夜の願いをあはは、と軽く笑いとばす。