「今日も美味しかったです」
「うん、気をつけて帰ってね。って言ってもすぐ二階だけど」
「キンカさんは、どうしてこんなにずっと優しくしてくれるんですか」
「お父さんがずっと優しくしてくれたから、かな」

 いつもはぐらかすのに、素直に答えてくれるキンカさんに驚いて顔を見つめれば頬が赤い。

「キンカさん酔っ払ってる?」
「酔ってないよ」
「顔真っ赤だよ?」

 キンカさんが飲んでる水の匂いを嗅げば、お酒の香りがする。こんなことをするのは、とパッと田貫さんの方へ視線を向ければいつのまにかお金だけ置かれて居なくなってる。

 キンカさんが、私に寄りかかってゴロゴロと喉を鳴らす。

「キンカさんって、やっぱり、キンちゃんなの?」

 ずっと聞きたくて聞けなかった言葉を口にすれば、キンカさんはか細く甘えるように高い声で鳴いた。