「冷めないうちに食べちゃいなよ」
「はい、いただきます」

 私は何一つ個々のみんなには、返せていないのに。貰うばかりなのに。

 そう思いながら、お味噌汁を一口飲み込む。ほわっと胸の中で温かい何かが広がっていく。きのこの味が混ざり合ったお味噌汁は、深い優しい味がする。

 きのこはぬるぬると、しゃくしゃくと、食感も色々あって楽しい。

「どう?」
「おいしいです。ってかこれ! ボリボリですよね」

 香りの中に、見知った懐かしいきのこを見つけて、はしゃいでしまう。おばあちゃんの家でよく出てきたやつだ。

 北海道を離れてから全然見なかったのに。キンカさんの様子を伺えば、嬉しそうに胸を張っている。
 
「久しぶりに手に入ったからね、今日は北海道特集です」

 言われてみれば、ちゃんちゃん焼きもそうだし。こう言うってことはきっとお米も、北海道のやつだろう。気づかなかった小鉢を見つめれば中には、じゃがバター塩辛のせが潜んでいた。

「嬉しい、ちゃんちゃん焼きも、じゃがバターも大好き」
「でしょうー、アンナちゃん喜ぶと思って頑張っちゃった」

 キンカさんが頭を差し出すから、わしゃわしゃと撫で回す。嬉しそうに笑うキンカさんの頭には猫耳が現れた。

「猫耳出てますよ」
「あ、やっべ」
「ふふ、キンカさんありがとう」
「いえいえ」

 キンカさんが急に照れた顔で、引っ込むから。周りを見渡せば、田貫さんも狐亮さんも寝たふりをしてる。

「狸寝入り!」
「し、して、んごー」
「くぅーん」
「分かってますからね二人とも」