ツバメが丘のあじさい通りには、しっとりとした夜風が駆け抜けていく。

あじさい通りをまっすぐに。かたつむりが目印の珈琲店の郵便ポストを左に曲がり、鳥居がまたがる細い路地をコの字に抜け、黒猫がお出迎えしてくれるそこが黒猫番地。

ほら、道の先。右側にほんのり明るく光が滲んだお店が見えるでしょう。
あなたも、この食堂の店主「おはぎ」さんに気付かぬうちに招かれたお客様。

リン チリン

いらっしゃい。おや、来たねぇ。待ってたよ。

食べたいもの、何でも言ってちょうだい。