「結婚、するつもりだったんです。付き合って三年目にプロポーズして、でもその時は彼女がまだやりたい事があるからって、婚約という形でその後三年付き合いました。趣味や友達と過ごしたり、仕事を一生懸命して、毎日楽しそうな彼女を見ていると、急いで結婚という形をとらなくても良いかなって納得してたんです。でも……」
その先の事を思い出して胸が苦しくなる。おはぎさんがそっと渡してくれたお茶をひと口飲み、呼吸を整えて続けた。
「浮気してたんです。問い詰めたら三人、相手がいました。会社の人と、友人二人と。それも、もう二年にもなるという話でした。それで……それから、は……」
「はいはい、良いのよ。うん。ごめんね、気の利いた事も言わなくて。でも、教えてくれてありがとね」
おはぎさんが「ほら、良かったら使いな」とカウンターの下から白いタオルを取り出した。
涙を拭いて、ぐずついた鼻を啜りながら、無我夢中でたまご雑炊を食べた。
あんなに食べ物を受け付けなかった胃が、じんわりと優しい温もりで満たされていく。
雑炊なんて、昔から食べ慣れている筈なのに、今まで食べたどんな高級料理よりも美味しくて、美味しくて。
最後に土鍋に張り付いた米を一粒ずつ掬いながら、綺麗に平らげてしまった。
その先の事を思い出して胸が苦しくなる。おはぎさんがそっと渡してくれたお茶をひと口飲み、呼吸を整えて続けた。
「浮気してたんです。問い詰めたら三人、相手がいました。会社の人と、友人二人と。それも、もう二年にもなるという話でした。それで……それから、は……」
「はいはい、良いのよ。うん。ごめんね、気の利いた事も言わなくて。でも、教えてくれてありがとね」
おはぎさんが「ほら、良かったら使いな」とカウンターの下から白いタオルを取り出した。
涙を拭いて、ぐずついた鼻を啜りながら、無我夢中でたまご雑炊を食べた。
あんなに食べ物を受け付けなかった胃が、じんわりと優しい温もりで満たされていく。
雑炊なんて、昔から食べ慣れている筈なのに、今まで食べたどんな高級料理よりも美味しくて、美味しくて。
最後に土鍋に張り付いた米を一粒ずつ掬いながら、綺麗に平らげてしまった。