「凪〜? 何やってるんだ? 飯食いにいかね? っておい、それ、スケジュール帳じゃないの? いいのか? 燃やして」
 食堂に行く途中、立ち止まって凪はライターで手帳を燃やしていた。炎でゆっくりと燃えていくそれを見ながら、凪は、声をかけてきた男子に、
「うん。俺のスケジュール帳じゃないからいいんだ」
 と応えた。
「変なやつだな」
 彼の言葉が聞こえないのか、
「女の子は運命とか好きだよな。朋にはほんと感謝だ。ま、でも、これから、だよな」
 と言う、凪の口元が自然と緩んだ。
「そうそう、ご飯は宮本さんと食べるから悪いけど、お前とは一緒に食べられないよ。待たせてるんだ。じゃあな」


                                   了