私は好意的な意味を伝えたくて失礼にあたらないように、そっとクリスタさんの腕をぎゅっと抱え込むように抱きしめてみました。

「どうかなさいましたか?!」

 クリスタさんの髪を指さして、腕を抱きしめてみてもあまりよく伝わりません。
 でも何か思いは伝わったようで、クリスタさんは私を抱きしめ返してくれてこう言いました。

「大丈夫ですよ、私はどこにもいきませんよ。そうだ、今日は私とお揃いの髪型にしてみましょうか?」
「(はい!)」

 私は自分が持てる最大限の笑みを浮かべました。


 そのあとラルスさまとのお勉強の時間がやってきました。
 なんとありがたいことにラルスさまが読み書きを教えてくださることになって、少しずつ勉強しています。

 最初は文字の発音、読むことを教えてもらいます。
 教えてもらいながら口を開いたり閉じたりして声を発してみようとしますが、声は出ません。

「ローゼマリー、急がなくていいから。ゆっくりで無理はしないように」

 何日かすると読むことはだいぶできるようになりました。
 たまに間違ってしまうけれど。