咲希との言い合いを経て、人とぶつかること、本音で話すことは、怖いことじゃないのだと知った。


そんな思いを胸に放課後虹果の元へ駆け寄る。

彼にずっと聞きたかったことが今なら聞ける気がしたから。

いつも彼から近づいてくるのに今日は私から近づいたため彼は、少し驚いていた。


「ねぇ、虹果。今日暇?」


「うん」


「一緒帰ろう」


いままでの私だったら絶対に言わないであろうこの言葉を聞き彼は、驚きを隠せていなかった。


「う、うん。いいけど、ちょいまってて」


そういわれたので、カバンに急いで荷物をいれる彼を見ながら少し待つ。


「よっし!終わった!帰るぞー」


「ほーい!」


て出会いがの場である家の近くの橋に向かう。


「どーした?」


「今から、私のずーっと聞きたかったことを聞きます。」


「なに?」


「私たちが初めて会った日のこと覚えてますか?」


「うん…」


罰の悪そうな顔をする


「なんで、あんなことしようと思ったの?虹果が悪いとは思わない。
でも、事情が今さらだけど聞きたい。そう思ってた。」


「あー、、絶対に聞きたいやつ?」


「無理にとは言わないけど、できればって感じ」


「…」


悩む様子を見せる彼を見るとあまり聞かない方が良かったのではないかと足がすくむ


「まぁ、君なら良いかな?」と彼が呟くと口を開く。


「あのときは、単純に全部が嫌になったってのが、大きかった。

初めに、一人の友達と些細なこと喧嘩をしてしまった。

そしたら、そいつが、俺の皆に俺が嫌なやつって言って回ってたらしく学校ですぐに孤立した。

学校はそれから休みがちになった。

そしたら、近所の人や、家族が、学校はに行ってない俺のことを腫れ物のように扱ってきてた。

そんなのり払えるくらい明るく話せたら良かったけど、そのときの俺は初めは嫌だったものの、何も感じなくなっていった。

そこで、あぁ、周りと同調しないで動いて、話して、生きていくことってこんなに大変で、メンタルこんなやられちゃうんだなって思った。

正直このとき自分の居場所はどこにもなかった。だから、俺は良くというかほぼ毎日この橋や、下の川のほとりを歩いていた。

誰にも会わなくてすむし、息を吸っていてここが唯一心地よく感じられる場所だったから。

死ぬという今では、最悪だったと思える選択をしようとしたあの日は家族から今日は学校に行ってみないかと、言われたときだった。

凄く嫌だった。

でも、学校へ行った。

何も感じなかった。

それは自分にたいして恐怖心が生まれるそんな変化だった。

悪く言われても、からかわれても何も感じない。それほどまでに弱ってしまっていたのだ。

何も感じないなら生きていても意味がない。
そう当時の自分は考えたのだろう。
そうしていつもの橋へ向かい君とであった。」


「おしまい。面白いもんじゃなかっただろ?」


終わって彼のと目があったとたん涙が次から次に溢れ出す。


それは、あのとき助けたことは間違ってなかったんだと言う安堵から来たのか、彼の状況を想像していたからかはわからない。


とにかく涙が止まらなかった。


「面白くない、、面白くないよ、、」


ずずっと鼻水をすすりながら情けない声で返す。


「でも、生きててくれてありがとう。」


これだけは言いたかった。


その言葉を聞くと彼は、恥ずかしそうに笑い、


「果夏は、いっつも嬉しい言葉をかけてくれるな」と言う。


「こんなタイミングだけど、俺果夏に言いたいことあるんだ。」


「なに?」


服の袖で涙を拭いながら聞く。


そんな私の目はまっすぐ彼の目を見つめていた。

「俺は弱い人間だと思う。そんな俺に嬉しい言葉を掛けてくれた果夏のことずっと離したくないって思った。

俺とこれからもずっと一緒にいてください!」


嬉しかった。


生涯告白されるのは最初で最後だろうそう思ったと同時にそれが彼で良かったと思う。


止まっていた涙が溢れ出す。


そんなわたしを見て彼は慌てる。


彼の様子を見て私はいたづらっぽく笑い彼に思いっきり抱きつく。


「私も、私も虹果とずっと一緒にいたい。虹果のこともう離さない!」


笑い会う私たちを包み込む世界は、きっとあのときとは違う。


大好きな君と、そして友達が私の支えになっている。


そんな生きづかった、世界が私は少しだけ好きだなと思えるようになった。


いつかは大好きと思えるようになりたい。


そう思い、新たな世界の空気を肺いっぱいに吸い込む



少しだけ、息がしやすくなった気がした。