ある日の登校時
学校に行くのが、少しだけ憂鬱じゃなくなった頃。
彼女は口を開く。
「なんで果夏は、学校で私にそっけなくするの?
いつも登下校のときは普通に話してくれるじゃん。
目合わせようとしてもそらすし、そのくせ一緒に帰るとき自分は一人だから寂しいとか辛いみたいな話して、自分からはなれてるのに都合よすぎない?
果夏何がしたいかわかんないよ。」
彼女はたまに物凄く機嫌か悪い日がある。
普段は日頃の愚痴を吐き、収まるのだが今回は私に文句を言ってきた。
私は何も悪くないのに意味がわからない。
「そんなことないよ」
そんなことないよというように手をふり、軽くあしらってみる。
「ほら、そうやって適当にあしらう。
私といるのが嫌なんだったらはっきり言えばいいじゃん。
そう結うところもずるいよ!」
「....」
言葉が出なかった。
彼女に対してごまかしは効かなかった。
「なんで言い返さないの?
そうやって黙っとけばいいと思ってるの?
だから果夏のことなんにもわかんないんだよ、自分勝手なところとか色々ずるいずるい!!」
ここで言い返しても言い合いになるだけなのは、わかっている。
しかし、冷静さのない人から生まれる言葉はもう一方の冷静さを失わせるという素晴らしい力を持っており、もう歯止めが聞かなくなった。
「ずるいずるいって、こっちの気も知らないくせに、なんでそんなことがいえるの?
こっちだって、好きで咲希の視線に気づかないふりをしたんじゃないし、無視してたわけじゃないんだよ。それなのに…」
言ってしまった。
一度口から出てしまったことばはとどまることを知らず次から次へ流れだしていく。
「それなのに、なんでわかってくれないの。
わかんなくても、ほっていてくれればいいじゃんそっちこそ意味わかんない。」
「友達だから!
友達だから急にそっけなくされたら不安になるし、何でって思っちゃったんだよ。そう思ったらだめなの?おかしいの?
好きで一人でいたんじゃないんでしょ何で避けてたか教えてよ。
知りたいどんな些細なことでも。
果夏が私のこと嫌いになってないって信じたいから。
いま、ごめんだけど果夏のこと信じられないの。だからおねがい。」
こんな彼女はいままで一緒にいて始めて見た
一面だった。
そんな彼女の表情を見て少し冷静さを取り戻し、彼女ならわかってくれるかもしれないそんな少しの期待を胸に口を開く。
「中学校の一年のときのこと覚えてる?」
「もちろん」
「私たちが最初に知り合ったのがたぶんこの時期だったと思う。
私ね、かわいい女の子が話しかけてきてくれた!って思ってめっちゃ嬉しかった。
かわいいだけじゃなくて、性格も良いし、いっしょにいてたのしかった。
絶対仲良くなりたいって思えたのは、いままでではじめてだったの。
だから、ずっと一緒にいてくれてありがとう」
「こちらこそ」
優しく返される。
「初めはさっきいった通り純粋に嬉しかった、でもね、時間がたつうちに自分の醜いところと咲希のきれいなところそれぞれが浮き彫りになってきてて、
たとえば、外見、能力、人当たりのよさ、どこをとっても不釣り合いで自分のなかでずっと羨ましさがあった。
それが言動にでないように必死で、ずっと過ごしてた。
そしたら、やっぱ、自分が不釣り合いって思ってるとこは他の人が見てもそうみたいで影でこそこそいわれてるのを聞いた。
その時に私をばかにするのはもう慣れた、何も感じない。
でも、咲希をあんなやつといるからおかしいやつだとか、自分より劣ってる人を近くに置いて自分をよく見せようとしてるとかいってて、凄く嫌な気持ちになった。
私がいるだけでこんな言い方されるなら一緒にいない方がいいと思ったでも、帰るとき、学校に行くときに決まって声を掛けてくれるのが嬉しくてせめて、せめてこのときだけは一緒にいたいと思って今みたいなときは一緒の空間で過ごしてる。あと、もう一つ理由があって、」
「うん。」
「私、物凄く要領が悪いというか、なんというかで、いっつも嫌な思いをしたり、させたりしちやってて、
たとえば、自分が悪くないのに先生に怒られちゃったり、みんなとおなじことしてても、自分だけおこられちゃうとか。
先生から目つけられてたのかな?
そんなとき、いままでいつも自分のともだちもまきこまれちゃってたんだ。
それで、人を巻き込みたくなくてか人ら離れるようになった。
自分といない方が幸せになれるんだってずっと思ってたから。だから、咲希と一緒にいたくないとか思ってない。それは神様にでも仏様にでも、世界中の人たちにも誓える。これだけは勘違いしないでほしい。」
言いきった、きれいさっぱり言いたいことが言えた。
清々しい気持ちだ。
「そっか…そうだったんだ…
果夏、これだけは言わせて
果夏は、めっっちゃかわいい!
私よりすごいとこなんか数えられないくらいっっっっぱい!ある!
だから、私より劣ってるとか思わない!
わかった?」
咲希は涙でうるんだ目でまっすぐこちらをみつめる。
彼女の目に嘘は写っていない、そう感じさせられた。
「ありがとう」
咲希に負けないくらい大粒の涙がわたしの頬を流れるまるで、自分の醜い部分を洗い流すかのように。
「わたし強いから!」
咲希はマッスルポーズをする
「巻き込まれるかもとか、辛い思いさせちゃうとか、考えなくていいんだよ、果夏の一緒にいたいときに来てくれればいい!
果夏賢いから頭で考えすぎちゃってたんでしよ~自分の心に聞くっ!それだけ!」
わたしの頭をわしゃわしゃとなでた後に胸に拳を当てををぽんぽんとたたく咲希。
「理由があったのにあんな辛く当たっちゃってごめん。
果夏のことなにも考えられてなかった。
これからも友達でいてください!」
「こちらこそ!」
くしゃくしゃな笑顔を見合わせ、笑い合う。
いつもと変わらない日常だけれど、少し違う、昨日よりも、いや、ほんの少しまえよりも輝かしい時間が私たちの回りを流れる。
学校に行くのが、少しだけ憂鬱じゃなくなった頃。
彼女は口を開く。
「なんで果夏は、学校で私にそっけなくするの?
いつも登下校のときは普通に話してくれるじゃん。
目合わせようとしてもそらすし、そのくせ一緒に帰るとき自分は一人だから寂しいとか辛いみたいな話して、自分からはなれてるのに都合よすぎない?
果夏何がしたいかわかんないよ。」
彼女はたまに物凄く機嫌か悪い日がある。
普段は日頃の愚痴を吐き、収まるのだが今回は私に文句を言ってきた。
私は何も悪くないのに意味がわからない。
「そんなことないよ」
そんなことないよというように手をふり、軽くあしらってみる。
「ほら、そうやって適当にあしらう。
私といるのが嫌なんだったらはっきり言えばいいじゃん。
そう結うところもずるいよ!」
「....」
言葉が出なかった。
彼女に対してごまかしは効かなかった。
「なんで言い返さないの?
そうやって黙っとけばいいと思ってるの?
だから果夏のことなんにもわかんないんだよ、自分勝手なところとか色々ずるいずるい!!」
ここで言い返しても言い合いになるだけなのは、わかっている。
しかし、冷静さのない人から生まれる言葉はもう一方の冷静さを失わせるという素晴らしい力を持っており、もう歯止めが聞かなくなった。
「ずるいずるいって、こっちの気も知らないくせに、なんでそんなことがいえるの?
こっちだって、好きで咲希の視線に気づかないふりをしたんじゃないし、無視してたわけじゃないんだよ。それなのに…」
言ってしまった。
一度口から出てしまったことばはとどまることを知らず次から次へ流れだしていく。
「それなのに、なんでわかってくれないの。
わかんなくても、ほっていてくれればいいじゃんそっちこそ意味わかんない。」
「友達だから!
友達だから急にそっけなくされたら不安になるし、何でって思っちゃったんだよ。そう思ったらだめなの?おかしいの?
好きで一人でいたんじゃないんでしょ何で避けてたか教えてよ。
知りたいどんな些細なことでも。
果夏が私のこと嫌いになってないって信じたいから。
いま、ごめんだけど果夏のこと信じられないの。だからおねがい。」
こんな彼女はいままで一緒にいて始めて見た
一面だった。
そんな彼女の表情を見て少し冷静さを取り戻し、彼女ならわかってくれるかもしれないそんな少しの期待を胸に口を開く。
「中学校の一年のときのこと覚えてる?」
「もちろん」
「私たちが最初に知り合ったのがたぶんこの時期だったと思う。
私ね、かわいい女の子が話しかけてきてくれた!って思ってめっちゃ嬉しかった。
かわいいだけじゃなくて、性格も良いし、いっしょにいてたのしかった。
絶対仲良くなりたいって思えたのは、いままでではじめてだったの。
だから、ずっと一緒にいてくれてありがとう」
「こちらこそ」
優しく返される。
「初めはさっきいった通り純粋に嬉しかった、でもね、時間がたつうちに自分の醜いところと咲希のきれいなところそれぞれが浮き彫りになってきてて、
たとえば、外見、能力、人当たりのよさ、どこをとっても不釣り合いで自分のなかでずっと羨ましさがあった。
それが言動にでないように必死で、ずっと過ごしてた。
そしたら、やっぱ、自分が不釣り合いって思ってるとこは他の人が見てもそうみたいで影でこそこそいわれてるのを聞いた。
その時に私をばかにするのはもう慣れた、何も感じない。
でも、咲希をあんなやつといるからおかしいやつだとか、自分より劣ってる人を近くに置いて自分をよく見せようとしてるとかいってて、凄く嫌な気持ちになった。
私がいるだけでこんな言い方されるなら一緒にいない方がいいと思ったでも、帰るとき、学校に行くときに決まって声を掛けてくれるのが嬉しくてせめて、せめてこのときだけは一緒にいたいと思って今みたいなときは一緒の空間で過ごしてる。あと、もう一つ理由があって、」
「うん。」
「私、物凄く要領が悪いというか、なんというかで、いっつも嫌な思いをしたり、させたりしちやってて、
たとえば、自分が悪くないのに先生に怒られちゃったり、みんなとおなじことしてても、自分だけおこられちゃうとか。
先生から目つけられてたのかな?
そんなとき、いままでいつも自分のともだちもまきこまれちゃってたんだ。
それで、人を巻き込みたくなくてか人ら離れるようになった。
自分といない方が幸せになれるんだってずっと思ってたから。だから、咲希と一緒にいたくないとか思ってない。それは神様にでも仏様にでも、世界中の人たちにも誓える。これだけは勘違いしないでほしい。」
言いきった、きれいさっぱり言いたいことが言えた。
清々しい気持ちだ。
「そっか…そうだったんだ…
果夏、これだけは言わせて
果夏は、めっっちゃかわいい!
私よりすごいとこなんか数えられないくらいっっっっぱい!ある!
だから、私より劣ってるとか思わない!
わかった?」
咲希は涙でうるんだ目でまっすぐこちらをみつめる。
彼女の目に嘘は写っていない、そう感じさせられた。
「ありがとう」
咲希に負けないくらい大粒の涙がわたしの頬を流れるまるで、自分の醜い部分を洗い流すかのように。
「わたし強いから!」
咲希はマッスルポーズをする
「巻き込まれるかもとか、辛い思いさせちゃうとか、考えなくていいんだよ、果夏の一緒にいたいときに来てくれればいい!
果夏賢いから頭で考えすぎちゃってたんでしよ~自分の心に聞くっ!それだけ!」
わたしの頭をわしゃわしゃとなでた後に胸に拳を当てををぽんぽんとたたく咲希。
「理由があったのにあんな辛く当たっちゃってごめん。
果夏のことなにも考えられてなかった。
これからも友達でいてください!」
「こちらこそ!」
くしゃくしゃな笑顔を見合わせ、笑い合う。
いつもと変わらない日常だけれど、少し違う、昨日よりも、いや、ほんの少しまえよりも輝かしい時間が私たちの回りを流れる。