次の日も、また次の日も毎日虹果は、話しかけくる。


友達がいないのだろうか?


少し心配になる。


まぁ、そんな必要はないと思うけれど。


彼と話す内容といえば、好きな食べ物、好きなこと、好きなもののような質問や、次の授業なに?とか、ノート見せて!とかの普段の会話が主だった。


いっつも話しかけてくるし、安心できる心地の良い空間を作り出してくれる彼のおかげて、少しずつそっけなさや、ぼそぼそと話すところころ、目を合わせるのが苦手な自分がまだ、完全に目を見て話すことはできないけれど、顔を上げて話すことができるようになった。

「ねぇ、虹果」


「ん?」


「なんでずっと話しかけてくれるの?」


「秘密!」


人差し指を口元に当てる仕草をする。


「ふーん」


「興味なかったん?」


「いや、あったけど言いたくないなら別にいい」


彼はちらりと私の顔を見ると吹き出した


「果夏、わかりやすくていいな、めっちゃ不服って顔してる」


「えっ?そんな顔に出てた?」


「なんか、フグみたいにぷくーってしてた」


わたしを真似しているらしくほっぺたを膨らます彼の顔は本当に面白く、思わず吹き出す


「あっ!わらったなー!」


「ごめっ、ごめんって!」


「ってか果夏明るくなったよな」


「なに?急に?」


「いや、橋であったときも、最初に学校であったときもなんか、気ぃ張って生きてる感じがしてた。毎回ぎゅーって眉間に皺が寄ってる感じまぁ、顔見れてなかったときもあるんだけどな」

「顔見れてなかったのはさすがに自覚あったけどそんな感じだったのか…少しでもなおって良かった」


「果夏の全部を知ってるわけじゃないけど全然今のほうがいいしかわいおとおもうよ!」

「か、かわいいとか、軽々しく言わない!顔が良い自覚をもちなさい!」


「はーい」


可愛いとか、好きとか、さらりと言えてしまう彼は、人たらしの才能があると思う。


顔が良いのを自覚しているところも少し腹が立つけど憎めない。


「まぁ、明るくかえてくれたのは虹果のお陰なんだけどね」


聞こえるか聞こえないか暗いの小さな声で呟く。


「なんか言った?」


「べつにー」


「なんか言ってたただろ!教えろー!!」


「言わなーい!」


こんな日々が最近は続いている。


そんな中で、学校にいるとき咲希の視線を感じている気がしていた。

しかし、それが気のせいではなかったことを後日知らされることとなった。