もう春が来た。
暖かな日差しが私を包み込む。
桜の花びらが舞っている。
「芽唯ちゃーん!」
新菜ちゃんが手を振っている。
「新菜ちゃん!私たち同じクラス?」
今日は始業式。
とうとう受験生になったのだ。
「うっ。それが……」
「えぇー。新菜ちゃんと同じが良かったな。最後だってのに」
「もうっ。せんせー空気読んでよー」
新菜ちゃんが腰に手を当てて不貞腐れている。
「鬼頭君とは?同じクラスなの?」
「あっ。どうだろう、まだ見てないんだよね」
クラス一覧表を見ると私のクラスに鬼頭の名はなかった。
「えー……違うのか。あ、メアリは一緒だ!」
メアリがいることが唯一の救いだ。
「あのね!私美月様と同じクラスなの~!推しと一緒とか最高過ぎて倒れちゃう~!」
また新菜ちゃんのオタクが発動している。
クラスに向かうとメアリと目が合った。
「よかった。芽唯と一緒で。あなたはそうでもなさそうだけど?」
呆れた笑いでこちらを見て来る。
「うっ……だって、新菜ちゃんも美月も俊君もいないんだよ⁉」
「確かに俊くんいないのは寂しいわね。私じゃ不満?」
メアリが残念そうに言う。
「不満なはずないよ!」
「そう」
メアリは安心したように言った。
私とメアリが四組、俊君と朱里ちゃんが六組。新菜ちゃん、美月が一組。
美月はどこにいるのかと教室に行くと。
「きゃ~!美月様ー!」
「こっち見たわ!」
「やばっ。お美しい……」
いつも通りの様子で少し安心した。
「ところで俊君は……」
今日は俊君、やることがあったみたいで先に学校に行ってしまったため、まだ会っていない。
「呼んだ?」
そこには大好きな人の姿があった。
「俊君!」
名前を呼ぶと俊君は私を抱き寄せた。
俊君の人気も健在で。
そこから卒業まではあっという間で。
「うわ~ん!もう芽唯ちゃんに会えないの~⁉」
新菜ちゃんが卒業式前だというのに泣きわめいていた。
「そんなことないよ。また会えるし遊びに行こ?」
私の言葉に新菜ちゃんが大きく頷いた。
「芽唯に会ったのはもう二年前なのね。最初会った時はどこのお嬢様かと思ったわ?ねぇ、メアリ?」
美月の言葉にメアリは笑った。
「そうね。最初は俊くんが取られちゃうと思って焦ったんだから」
「私も芽唯ちゃんと会えてよかった……」
朱里ちゃんが言う。
「朱里はまたフランスに戻るのよね?」
美月が言う。
「うん。ママと約束してたの。私もモデルになるって」
朱里ちゃんはきっと活躍するだろう。
「そっか。朱里は朱姫の血が濃いのね。きっと活躍できるわよ」
メアリが朱里ちゃんに言った。
「あっ、そろそろだね!」
新菜ちゃんが整列する皆を見て涙を拭いた。
卒業式では新菜ちゃんは大泣き。
鬼頭家の双子は大人気。
保護者まで虜にしてしまう魔性の双子。
「はぁ……やっと終わったー」
意外とずっと座っているということはストレスがたまる。
「芽唯、こっち来て」
俊君に言われ、屋上に来た。
「卒業しちゃうんだ……」
色々あった三年間。
きっと今まで生きてきて一番疲れ、楽しかった時間。
こんなに幸せになれたのは初めてだ。
「そうだね。でも、俺と芽唯はずっと離れないから」
「うん、そうだね」
「……ねぇ芽唯」
「ん?」
「──これからも俺と一緒にいてくれる?」
きっと俊君は私が知らないだけでたくさんの重圧を背負っているのだろう。
これから先、一緒にいるとなるとそれを思い知るだろう。
それでも私は。
「うん、当たり前じゃん!私はっ……俊君のことが大好きだからっ!」
「ありがとう。俺は芽唯と出逢えて世界一……いや、宇宙一幸せ者だね」
そう言うと俊君は優しくキスをした。
~【完】~
暖かな日差しが私を包み込む。
桜の花びらが舞っている。
「芽唯ちゃーん!」
新菜ちゃんが手を振っている。
「新菜ちゃん!私たち同じクラス?」
今日は始業式。
とうとう受験生になったのだ。
「うっ。それが……」
「えぇー。新菜ちゃんと同じが良かったな。最後だってのに」
「もうっ。せんせー空気読んでよー」
新菜ちゃんが腰に手を当てて不貞腐れている。
「鬼頭君とは?同じクラスなの?」
「あっ。どうだろう、まだ見てないんだよね」
クラス一覧表を見ると私のクラスに鬼頭の名はなかった。
「えー……違うのか。あ、メアリは一緒だ!」
メアリがいることが唯一の救いだ。
「あのね!私美月様と同じクラスなの~!推しと一緒とか最高過ぎて倒れちゃう~!」
また新菜ちゃんのオタクが発動している。
クラスに向かうとメアリと目が合った。
「よかった。芽唯と一緒で。あなたはそうでもなさそうだけど?」
呆れた笑いでこちらを見て来る。
「うっ……だって、新菜ちゃんも美月も俊君もいないんだよ⁉」
「確かに俊くんいないのは寂しいわね。私じゃ不満?」
メアリが残念そうに言う。
「不満なはずないよ!」
「そう」
メアリは安心したように言った。
私とメアリが四組、俊君と朱里ちゃんが六組。新菜ちゃん、美月が一組。
美月はどこにいるのかと教室に行くと。
「きゃ~!美月様ー!」
「こっち見たわ!」
「やばっ。お美しい……」
いつも通りの様子で少し安心した。
「ところで俊君は……」
今日は俊君、やることがあったみたいで先に学校に行ってしまったため、まだ会っていない。
「呼んだ?」
そこには大好きな人の姿があった。
「俊君!」
名前を呼ぶと俊君は私を抱き寄せた。
俊君の人気も健在で。
そこから卒業まではあっという間で。
「うわ~ん!もう芽唯ちゃんに会えないの~⁉」
新菜ちゃんが卒業式前だというのに泣きわめいていた。
「そんなことないよ。また会えるし遊びに行こ?」
私の言葉に新菜ちゃんが大きく頷いた。
「芽唯に会ったのはもう二年前なのね。最初会った時はどこのお嬢様かと思ったわ?ねぇ、メアリ?」
美月の言葉にメアリは笑った。
「そうね。最初は俊くんが取られちゃうと思って焦ったんだから」
「私も芽唯ちゃんと会えてよかった……」
朱里ちゃんが言う。
「朱里はまたフランスに戻るのよね?」
美月が言う。
「うん。ママと約束してたの。私もモデルになるって」
朱里ちゃんはきっと活躍するだろう。
「そっか。朱里は朱姫の血が濃いのね。きっと活躍できるわよ」
メアリが朱里ちゃんに言った。
「あっ、そろそろだね!」
新菜ちゃんが整列する皆を見て涙を拭いた。
卒業式では新菜ちゃんは大泣き。
鬼頭家の双子は大人気。
保護者まで虜にしてしまう魔性の双子。
「はぁ……やっと終わったー」
意外とずっと座っているということはストレスがたまる。
「芽唯、こっち来て」
俊君に言われ、屋上に来た。
「卒業しちゃうんだ……」
色々あった三年間。
きっと今まで生きてきて一番疲れ、楽しかった時間。
こんなに幸せになれたのは初めてだ。
「そうだね。でも、俺と芽唯はずっと離れないから」
「うん、そうだね」
「……ねぇ芽唯」
「ん?」
「──これからも俺と一緒にいてくれる?」
きっと俊君は私が知らないだけでたくさんの重圧を背負っているのだろう。
これから先、一緒にいるとなるとそれを思い知るだろう。
それでも私は。
「うん、当たり前じゃん!私はっ……俊君のことが大好きだからっ!」
「ありがとう。俺は芽唯と出逢えて世界一……いや、宇宙一幸せ者だね」
そう言うと俊君は優しくキスをした。
~【完】~