私の朝は大好きな人の声から始まる。
「──芽唯。朝だよ」
「……んんっ……」
まだ寝ていたい。
「メアリと美月と桜井が迎えに来てるよ」
「……ふぁ~。おはよう、俊君」
あくびをしながら目の前にいる私の彼氏──鬼頭俊君に挨拶をする。
「おはよ」
クスッと笑いながら私に笑顔を向けた。
いつ見ても美形だな。
俊君は鬼のあやかし。整ったその顔立ちはこの世に存在する人々全てを魅了するだろう。
そんな俊君と私──斎藤芽唯は付き合っている。
そして、同居している。
俊君の家は大企業、鬼頭グループ。
鬼頭グループは今の日本には欠かせない存在。
玄関を出て、学校に行く。
「……芽唯、おはよ」
「芽唯ちゃーん!」
「おはようございます」
私と俊君の前に現れた三人の少女たち。
一人は茶色の髪に、サファイアのような瞳の宮野メアリ。
ニコニコと私に手を振る少女は桜井新菜ちゃん。
真っ黒の髪をなびかせている大人びた少女は鬼頭美月。
俊君の双子の姉だ。
「おはよう、三人とも。遅れてごめんね」
「全然!てゆーか、珍しいね、芽唯ちゃんが遅れるなんて」
寝過ごしたなんて口が裂けても言えな──
「芽唯が寝坊したんだよ」
しれっと恥ずかしいことを言う俊君。
「ちょ、俊君⁉い、言わないでよっ」
真っ赤になる私を見て他の四人は大爆笑。
私は笑い者かって。
「ぶっ。本当に朝から笑わせないでよ」
腹を抱えながら訴えるメアリをじとっと睨む。
「……遅れますよ。早く行きましょ」
美月は呆れたように言った。
美月が車に乗るとみんなも一斉に乗った。
私、斎藤芽唯はごくごく普通の高校二年生。
私は双子の姉がいるけれど、あまり上手くいかなくていじめられていた。
姉の七海は血の繋がりはなく、お父さんの再婚でお母さんになった人の連れ子が七海だった。
私のお父さんはすごく優しい人で自慢のお父さんだった。
でも、お父さんはある日、事故で亡くなってしまった。
悲しくてたまらなかったけれど、今は俊君たちがいてくれるから寂しさは吹き飛んだ。
「お嬢様方、着きましたよ」
美月のお世話役のセレナさんが車の扉を開けた。
「ありがとう、ねえや」
美月がそう言い、車から降りた。
視線が痛い。
美月と俊君はもちろん、メアリも美しい容姿なので視線がものすごい。
「なにあの子……成瀬様ではないよね」
「ね。鬼頭様のお隣はあの方のはずなのに──」
成瀬さんって誰だろう。
今までそんな名前の人には会ったことがないような。
教室に着くと、なにやら騒がしかった。
「ねぇ、聞いた?成瀬様が転校して来るって!」
「マジ?超嬉しいんだけど!」
また、成瀬さんの話だ。
とりあえず、成瀬さんって子が転校して来るようだ。
「はい、じゃあ。皆、席に着いてねー」
担任の音海先生が言った。
「今日は転校生がいまーす」
漫画やアニメにありがちな展開だ。
「じゃあ、入って来てー?」
音海先生の言葉の後、すぐに扉が開かれた。
「……成瀬朱里。よろしく」
成瀬って、どこかで聞いたような。
休み時間、皆、一斉に成瀬さんの机に駆け出した。
そんな皆に成瀬さんは一言。
「申し訳ないけど……私は忙しいので……」
ぺこりと会釈をして、どこかに行ってしまった。
「相変わらず成瀬様はお忙しいのね」
「昔と変わらずお綺麗だ」
成瀬さんは一体どんな人なんだろう。
いつも通り、俊君たちと楽しくお昼を食べる。
「……今日はもう一人、一緒に食べたいという子がいるのだけど、いいかしら」
美月が言った。
「もちろんだよ~!で、どんな子?」
新菜ちゃんがのほほんと言った。
「……私」
低く、澄んだ声が聞こえた。
その声の主は、成瀬さんだ。
「誘ってくれてありがと。美月」
「いえ。とんでもないわ」
美月の知り合いだろうか。
「ねぇ、成瀬さんは美月の知り合いかなにか?何度か見かけたことあるけど、話したことないわ」
メアリが成瀬さんに聞いた。
「美月とはフランスで知り合った」
そう答える成瀬さんに新菜ちゃんが質問した。
「えっと。朱里ちゃんって、朱姫って知ってる?」
その言葉に成瀬さんは相当驚いていた。
「なぜそれを……」
朱姫は世界的に活躍しているモデル。
朱姫はあやかしの雪女で、肌が白くて誰もが憧れる美貌の持ち主だ。
「なんか朱里ちゃんと朱姫の顔立ちが似てるな~って」
「ママは私のことは何も公開していない……なのに当てられるなんて。そう、私のママはモデルの朱姫。新菜は……青嵐」
青嵐って風のことじゃない。
「そういえば、朱里はどこで美月と知り合ったの?」
「フランスのファッションショーで知り合った……」
美月は自分のファッションブランドを立ち上げることが夢で世界を旅していたそう。
色々成瀬さんの話を聞いた。
「芽唯ちゃんも、私のことは朱里でいいから……」
「えっ?うん!わかった」
「……朱里はなんで急にこっちに来たの?朱姫さんたちはまだフランスじゃ……」
俊君が不思議そうに聞いた。
「うん、パパもママもまだフランスだけど、日本が恋しかったから」
俊君と朱里ちゃんは知り合いなのかな。
どんな関係なんだろう。
「──芽唯。朝だよ」
「……んんっ……」
まだ寝ていたい。
「メアリと美月と桜井が迎えに来てるよ」
「……ふぁ~。おはよう、俊君」
あくびをしながら目の前にいる私の彼氏──鬼頭俊君に挨拶をする。
「おはよ」
クスッと笑いながら私に笑顔を向けた。
いつ見ても美形だな。
俊君は鬼のあやかし。整ったその顔立ちはこの世に存在する人々全てを魅了するだろう。
そんな俊君と私──斎藤芽唯は付き合っている。
そして、同居している。
俊君の家は大企業、鬼頭グループ。
鬼頭グループは今の日本には欠かせない存在。
玄関を出て、学校に行く。
「……芽唯、おはよ」
「芽唯ちゃーん!」
「おはようございます」
私と俊君の前に現れた三人の少女たち。
一人は茶色の髪に、サファイアのような瞳の宮野メアリ。
ニコニコと私に手を振る少女は桜井新菜ちゃん。
真っ黒の髪をなびかせている大人びた少女は鬼頭美月。
俊君の双子の姉だ。
「おはよう、三人とも。遅れてごめんね」
「全然!てゆーか、珍しいね、芽唯ちゃんが遅れるなんて」
寝過ごしたなんて口が裂けても言えな──
「芽唯が寝坊したんだよ」
しれっと恥ずかしいことを言う俊君。
「ちょ、俊君⁉い、言わないでよっ」
真っ赤になる私を見て他の四人は大爆笑。
私は笑い者かって。
「ぶっ。本当に朝から笑わせないでよ」
腹を抱えながら訴えるメアリをじとっと睨む。
「……遅れますよ。早く行きましょ」
美月は呆れたように言った。
美月が車に乗るとみんなも一斉に乗った。
私、斎藤芽唯はごくごく普通の高校二年生。
私は双子の姉がいるけれど、あまり上手くいかなくていじめられていた。
姉の七海は血の繋がりはなく、お父さんの再婚でお母さんになった人の連れ子が七海だった。
私のお父さんはすごく優しい人で自慢のお父さんだった。
でも、お父さんはある日、事故で亡くなってしまった。
悲しくてたまらなかったけれど、今は俊君たちがいてくれるから寂しさは吹き飛んだ。
「お嬢様方、着きましたよ」
美月のお世話役のセレナさんが車の扉を開けた。
「ありがとう、ねえや」
美月がそう言い、車から降りた。
視線が痛い。
美月と俊君はもちろん、メアリも美しい容姿なので視線がものすごい。
「なにあの子……成瀬様ではないよね」
「ね。鬼頭様のお隣はあの方のはずなのに──」
成瀬さんって誰だろう。
今までそんな名前の人には会ったことがないような。
教室に着くと、なにやら騒がしかった。
「ねぇ、聞いた?成瀬様が転校して来るって!」
「マジ?超嬉しいんだけど!」
また、成瀬さんの話だ。
とりあえず、成瀬さんって子が転校して来るようだ。
「はい、じゃあ。皆、席に着いてねー」
担任の音海先生が言った。
「今日は転校生がいまーす」
漫画やアニメにありがちな展開だ。
「じゃあ、入って来てー?」
音海先生の言葉の後、すぐに扉が開かれた。
「……成瀬朱里。よろしく」
成瀬って、どこかで聞いたような。
休み時間、皆、一斉に成瀬さんの机に駆け出した。
そんな皆に成瀬さんは一言。
「申し訳ないけど……私は忙しいので……」
ぺこりと会釈をして、どこかに行ってしまった。
「相変わらず成瀬様はお忙しいのね」
「昔と変わらずお綺麗だ」
成瀬さんは一体どんな人なんだろう。
いつも通り、俊君たちと楽しくお昼を食べる。
「……今日はもう一人、一緒に食べたいという子がいるのだけど、いいかしら」
美月が言った。
「もちろんだよ~!で、どんな子?」
新菜ちゃんがのほほんと言った。
「……私」
低く、澄んだ声が聞こえた。
その声の主は、成瀬さんだ。
「誘ってくれてありがと。美月」
「いえ。とんでもないわ」
美月の知り合いだろうか。
「ねぇ、成瀬さんは美月の知り合いかなにか?何度か見かけたことあるけど、話したことないわ」
メアリが成瀬さんに聞いた。
「美月とはフランスで知り合った」
そう答える成瀬さんに新菜ちゃんが質問した。
「えっと。朱里ちゃんって、朱姫って知ってる?」
その言葉に成瀬さんは相当驚いていた。
「なぜそれを……」
朱姫は世界的に活躍しているモデル。
朱姫はあやかしの雪女で、肌が白くて誰もが憧れる美貌の持ち主だ。
「なんか朱里ちゃんと朱姫の顔立ちが似てるな~って」
「ママは私のことは何も公開していない……なのに当てられるなんて。そう、私のママはモデルの朱姫。新菜は……青嵐」
青嵐って風のことじゃない。
「そういえば、朱里はどこで美月と知り合ったの?」
「フランスのファッションショーで知り合った……」
美月は自分のファッションブランドを立ち上げることが夢で世界を旅していたそう。
色々成瀬さんの話を聞いた。
「芽唯ちゃんも、私のことは朱里でいいから……」
「えっ?うん!わかった」
「……朱里はなんで急にこっちに来たの?朱姫さんたちはまだフランスじゃ……」
俊君が不思議そうに聞いた。
「うん、パパもママもまだフランスだけど、日本が恋しかったから」
俊君と朱里ちゃんは知り合いなのかな。
どんな関係なんだろう。