彼女の夢を見た。正確に言えば彼女の中身を知った。彼女は悩んでいたのだ。人望があるが故に自分の心をすり減らし、劣等生というレッテルを剥がせずに"みんなの理想"を演じていた。


ああ、彼女もありふれた人間なのだと思った。傷つくこと、傷つけること。彼女は傷だらけだったのだ。血の滲んだ包帯の上からまっさらな包帯を巻き、笑顔をペーストする。そして周りの人間たちは「彼女なら大丈夫」とそれぞれの持つフォークでじわじわと痛めつけていたのだ。
じゃあ私が持っていたのはフォークかしら。
答えは、いいえだろうと思った。

私が彼女に向けていたのはナイフだ。