どこにいても、何をしていても、いつもどこか息苦しい――こんな自分のことが大嫌いだ。

鮮烈な消毒液の匂いが私をこの世に繋ぎ止め、楽にさせてはくれない。
蝉の声と私の命が削れる音だけが白い箱の中で谺した。

"私、早見優は遺書を残さずに死にます。
このメモが遺書になるのかな、"
そう書いて芯の少し丸まった鉛筆を机の上に置いた。