異世界転生…………。
前世では腐るほどに聞いた話だがいざ、自分が体験してみると不思議だ。人生何が起こるか、以下略。

とりあえず、悲観していても仕方がない。断罪されたくなんてないから、主人公たちに関わるようなことは避けなければ。私は自由に生きていきたいのだ。めざせ、スローライフ!

まずは「ハナチギ」の設定を思い出してみる。



「ハナチギ」こと「花嫁に永遠の契りを」は大多数の乙女ゲームと同じく、いわゆるシンデレラストーリー設定。

平民だった主人公はある事件がきっかけで、聖女の力が発現。
そこでスカーレットの実家アスティーヌ公爵家の養子となり、魔法学園に通うのだ。


学園で攻略対象たちと出会い、愛をはぐくんでいくヒロイン。
だが、その恋路を邪魔する悪役令嬢ポジのキャラクターがいわずもがなスカーレットなのだ。

義妹が王子や公爵家の子息と仲睦まじくしているのを見て嫉妬し、ヒロインに嫌がらせをするのだが、だんだんとエスカレート。
最終的には犯罪まがいの嫌がらせをするようになるのだ。

それに心を痛めながらもヒロインが王子にスカーレットの罪を告発。スカーレットは毒物をヒロインの紅茶に盛ろうとした現場をおさえれ、断罪されるのだ。


邪魔者がいなくなったヒロインとその恋人は盛大に結婚式をあげ、永遠の愛を誓いあう、というあらすじ。


こうしてみるとスカーレットはとんでもない悪女のようにみえるがそうでもない。

初め、スカーレットは自分の婚約者や王子と距離が近すぎるヒロインに注意をしていただけだった。それをヒロインは「お義姉さまは、私のことがお嫌いなのだわ」とスカーレットのせいにしたのだ。


愛する婚約者が義妹どんどん距離を縮め、自分をないがしろにし始めたことに焦ったスカーレットは嫌がらせを開始するだが、これだってスカーレットの婚約者が浮気をしているようなものだ。



ゲーム内では美しく純粋な愛を育む二人を邪魔する悪役として書かれていたが、どう考えても、浮気をした婚約者が悪い。



だが、一途なのはゲームのスカーレット。
私はそいつのことが好きではないし、なんなら浮気をした最低野郎だと思っている。だから、ヒロインと結婚しようが何も感じない。

スカーレットが悪役になったのはヒロインに嫌がらせをしたからだが、今の私は嫌がらせをするつもりなんてないので、悪役要素はゼロなのである。

せっかく転生したのだから、悪役の使命なんかにとらわれず、自由に生活したい。

貴族だから、いつか誰かと結婚しなければならないにしても、断罪されるのに比べれば些細な問題だ。



よし。

目指すはスローライフ。ヒロインと攻略対象なんて放っておいて私は好きにさせてもらいます!!