「………私、死んだよね…?」

絶対に死んだはずなのに、なんか意識があるんですけど。しかも、全然知らない場所だし。

頬をつねってみても、豪奢な家具は、私の視界からきえない。どの家具も最高級品のようで、すごくおしゃれだ。たぶん、私が今座っているベッドだって、そう。

ものすごくフカフカで…………。
え?

下を向いた私の視界には、思った通りフカフカのベッドと私が着ている、ものすごくかわいいネグリジェに垂れた長い金髪。


……そう、金髪。私は日本人の両親から産まれた、純粋な日本人。もちろん髪は黒髪だったし、ほぼ毎日寝たきりの私には長い髪の毛が邪魔だから、短く切り揃えていた。

金髪ロングなんて有り得ない。

…………ここがどこかすら分からないのに、また問題が増えてしまった。



私って誰?!




ここはどこ、私は誰、なんて漫画とアニメの世界の言葉だと思っていたが、まさか自分がそうなしまうなんて……。人生、何が起こるか本当に分からないものだ。

とりあえず、混乱していても仕方がないし、こんな状態で人が来て記憶喪失だと勘違いされるのもごめんだ。私は早々に立ち直って、とりあえず、自分がいた寝室らしき部屋の隣にある部屋に入ってみた。すると正面に大きな鏡がおかれてあって、私は意図せず自分の顔を見ることになった。が…………。

「えええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

自分の顔を見た私は思わず大声で叫んでしまう。

近所迷惑だとか、誰かに聞こえるかも、とかそんなことを気にしている余裕はなかった。


だって、私の顔はどこからどう見てもーーーー



「ハナチギ」の悪役令嬢スカーレットものだったのだから。


……………………どうやら、乙女ゲームの世界に転生してしまったようです……。