「カラーズが違法ハーブの売買で有名なのは本当。そして、彼等の後ろ盾にはとあるヤクザの組がいる。互いに協力関係で、脅してるわけじゃない」
 協力関係、というのはカラーズは売上金の一部をヤクザに納め、その代わりに売る権利と何かトラブルが発生した際は助けてもらう、ということだ。
「自分達の組織や警察はカラーズを捕まえようとしてきたし、今もしている。その証拠もある。自分達の組織が持っている、ということは警察も持っていると思って違わないはずよ」
 有栖の話を聞いて、奉日本は彼女の口調が淡々としていることに気がついていた。それは、感情的にならないように努めているからだろう。この先にある事実は、右京にとっては酷なものだから……。
「だったら、結城さん達はこれまでに捕まっていても変じゃないですよね? 仮にヤクザが後ろ盾にいたとして、ユースは新設だから捕まえるまでに至ってないんだとしても、警察には捕まってても変じゃない」
 右京が反論するかのように言った。それは彼の中に結城達を信じたい気持ちがあること。そして、有栖の組織を否定するときに少し口調に抵抗があったこと。どちらも彼の優しい性格が表面化しているようだった。
「……違う」
 そんな、彼に有栖は悔しさを零すように、呟くように、言葉を落とした。そこには彼女の感情が確かに表れていたが、一度首を振り、仕切り直すと、今度は仕事の仮面を被った上で言ってみせた。
「捕まっているわ。カラーズはこれまでも何回も」