「カラーズのみんなと出会ったのは、半年前です。俺は、あの人達に助けてもらったんですよ」
 今回の発端は右京が夜の街を出歩いて遊んでいたときに、半グレの男達にぶつかってしまったことだった。
 右京は夜遊びをしていたが、それでも高校生の範囲内だ。優等生から見れば素行が悪く見えるだろうが、別に悪さをしているわけでもなく、不良だったわけでもない。
 だから、その半グレの男達にぶつかったときも、軽い感じではあったが謝った。そのときに周囲に二人ほど友人がいたが、笑いながら注意をしていた。
「その軽い雰囲気が気に食わなかったのか……男達がキレて、俺達は暴行を受けました。友人は上手い具合に逃げたんですけど、俺は逃げそびれて……」
 そのときは死んでしまうのではないか、と思うほどに殴られた。右京は謝ったが、聞く耳を持つこともなく男達はゲラゲラと笑いながら彼をストレス解消の玩具にしたのだ。
 顔が腫れ、視界が遠のいた時――彼に救いの手が延びた。
 突然、暴力の雨が止んだのだ。
「大丈夫か?」
 地面に倒れていた彼に優しい声がかけられた。その声に反応し、顔をあげると手を差し伸べてくれている赤い髪の青年が――
「それが結城 清治(ゆうき せいじ)ね」
「はい」
 右京の返事に有栖は苦虫を噛み潰した表情を見せた。その意味を右京は理解していない。
 ――そこだけ切り取れば良い話だな。
 それを聞いていて、奉日本もそう思った。だが、彼の場合は結城の意図を知っている。それは有栖から聞いたのではなく、彼が持っている情報の一つとして。
「それをきっかけに結城さんとは仲良くなって、一緒に遊ぶようになって、俺もカラーズに入れてくれるようになったんです」
「カラーズがどんなことをしてるか知ってた?」
「知りませんでした。俺がいるときは夜にちょっと遊ぶぐらいだったので、仲のいいグループの名前だと思ってたし。でも、ある日――」