「それは聞いてるだけでムカつきますね」
「せやろ?」
 一色の話を聞いた有栖は抱いた感情をそのまま吐き出した。
「違法ハーブによる被害と犯罪も増加しとる。バイヤーのアホ共は軽い金稼ぎのつもりやろうけど、影響が冗談じゃ片付けられん」
 一色の表情は険しい。それは被害にあっている多くは十代から二十代の若者だ。当然、その範囲には彼の娘も該当する。そこに私情を挟まないのは無理な注文だった。
「また同じ方法で逃げられたら次の機会が遅れる。そういった意味では人手は欲しいからな」
「あぁ、それで自分の復帰も早いってことっすか」
「そういうこと。ほら、確保対象の写真や。一応持っとけ」
 一色は胸ポケットから一枚の写真を取り出し、有栖に渡す。
「何ですか、これ? 新しい戦隊モノですか?」
「ある意味正解や。『カラーズ』って名乗ってるらしいで」
「センスないっすね」
 呆れた様子で有栖は写真を見る。そこにはレッド、ブルー、イエロー、ピンク、グリーンの髪色の男女が並んでいる。

 中肉中背でミディアムな長さの赤髪の青年。
 肩ぐらいの長さの青い髪に緩いパーマで口にピアスをしている細身の男
 金髪坊主で二メートルぐらいの長身の男
 濃い緑色のソフトモヒカンにぶら下げるように左耳だけにイヤリングを着けた中肉中背の男
 ピンクのロングヘアーに黒く日焼けをしているモデル体型の女性

 そんな派手な頭髪の若者達が仲良さそうに映っている。その切り取られた一部分だけを見れば、少し悪ぶっているそこらにいる若者にしか見えなかった。