「ほら、黒猫が前を横切ると不吉とか縁起が悪いとか言うじゃないですか」
　ハヤシライスを半分ぐらい食べた有栖が、シーザーサラダを食べる為にスプーンからフォークに持ち替えて言った。
「あぁ、あれって国によって様々らしいですよ。他の国では縁起の良い象徴だったり、福を運んでくると言われていたりしますね。日本でも昔は縁起の良い動物だったと思います」
「へぇ、解釈違いってやつかな」
「そうですね。見方、考え方は様々です。そう言った意味では――」
　シーザーサラダを口に含み、右側の頬袋を膨らませている有栖に、高本は微笑む。
「有栖さんの探している猫の写真も見方を変えれば、色々とヒントが見えてくるかもしれませんよ？」